【RIZIN】堀口恭司に9秒KO負けした元UFCイアン・マッコールが引退表明
世界最高峰の総合格闘技団体『UFC』でフライ級ランカーとして活躍し、日本の格闘技イベント『RIZIN』にも参戦したイアン・マッコール(33=アメリカ)が、現役引退を決断したことが分かった。
5月21日(月・現地時間)アメリカの総合格闘技専門インターネット番組『The MMA Hour』に出演したマッコールは、「長い間、この時を待っていた人々もいると思うが、俺はとうとう引退するよ。終わりにしたんだ」と発言。
「この競技は自分から多くのものを奪っていった(笑)。いや、奪っていったというべきではないな。俺がこの競技に多くのものを捧げたんだ。自分は何年か前はきっと、世界のベストファイターだった。デメトリアス・ジョンソン(現UFCフライ級王者)と戦った時のことを未だに語ってくれている人たちだっている。成功も経験したし、楽しむこともできたよ。そして終わりが来たんだ」と、自身の競技生活についても冗談混じりで振り返り、現役引退を明らかにした。
マッコールは2002年8月に18歳で総合格闘家としてプロデビューし、2011年8月には軽量級の登竜門とされた『TPF』でフライ級王座に輝くなど結果を残す。そして、2012年3月のUFC初代フライ級王座決定トーナメントに出場すると、その準決勝でデメトリアス・ジョンソン(アメリカ)と対戦。今や難攻不落の絶対王者となったジョンソンを相手に、マッコールは互角以上の勝負を繰り広げ、最後は引き分けに持ち込んだことで、その名を知られるようになった。
同年6月の再戦でジョンソンに判定負けし、トーナメント決勝に駒を進めることができなかったマッコールは、リベンジと王座奪取を目指しながら2015年1月までにUFC戦績を2勝3敗1分としたが、以降は自身の怪我や対戦相手の体調不良により、試合が4度も流れてしまうなど不遇の日々が続く。そうした中で昨年10月にマッコールは自らリリース(契約解除)を要請するかたちでUFCを離れ、復活に向けた新天地として日本のRIZINを選んだ。
しかし、その選択も結果的にはうまく運ばなかった。昨年12月29日のRIZINバンタム級トーナメント2回戦で、マッコールはマネル・ケイプ(アンゴラ)を相手に約2年ぶりとなる復帰戦に臨んだが、序盤にヒザ蹴りで顔面をカットされて大流血し、ドクターストップにより1R1分46秒でまさかのTKO負け。
ここから再起を目指して出場したのが、未だ記憶に新しい今月6日(日・日本時間)の『RIZIN.10』だった。マッコールは堀口恭司(アメリカン・トップチーム)との元UFCフライ級トップファイター対決に臨むも、開始早々に強烈な左フックを叩き込まれて1Rわずか9秒でTKO負けを喫し、復帰後2連敗となってしまった。
厳しい現実を突きつけられたマッコールは、堀口戦の後に日本で引退を決めたと言う。「肉体的にはまだ競技を続けることもできる」としながらも、実状は「前に進んでいないし、世界最強に近づいてもいないし、ますますそこから遠のいてすらもいる。もし世界最高レベルの中で太刀打ちすることができないのなら、自分にとってもはや戦うことにそれだけの価値はない」と捉えており、現実と理想の狭間で気持ちを作ることが難しくなったことが引退の主たる理由のようだ。
「これを言うのは嫌なんだけれど、俺はついてないんだよ。本当にそうみたいなんだ。でも大丈夫さ。状況を変えれば、また好機が巡ってくるだろう」と、不遇の日々から気持ちが立ち直りつつあるマッコール。
引退後のプランについては具体的なものはまだ決まっていないそうだが、「やりたいことや選択肢はたくさんあるよ。引退後の道が、時給をもらいながらジムで教えるだけっていうのも考えものだろう。俺がこれから真剣に取り組みたいのは、若いファイターたちにこの競技を終えたところに何があるのかをしっかりと見せることなんだ。自分は多少なりともパイオニア(先駆者)だろうからね」と語った。
キャリアの最後に日本で復活する姿を見せることはできなかったが、それでもマッコールは母国アメリカで総合格闘技の軽量級を牽引し、13勝7敗1分の生涯戦績を残したファイターとしての自負を胸に、「俺は自分の仕事には誰にも負けない確固たる信念を持って取り組んでいる。次の世界でもそれを実践していくつもりだ」と、次なるステージでの活躍を誓っている。
●編集部オススメ
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
TwitterでeFight(イーファイト)格闘技情報をフォローしよう!
Follow @efight_twitインスタグラムでeFight(イーファイト)格闘技情報をフォローしよう!
関連記事
【関連リンク】