2019/10/08（火）UP
（最終更新：2019/10/08 21:37）

新井（右）の強打を受けながらも、一歩も引かず打ち合った杉田。“Mr.ナックルファイターズ”らしい最後の激闘だった

▼第12試合メインイベント“Mr.ナックルファイターズ”杉田拓也引退試合　ナックルファイトバンタム級タイトルマッチ3分2R延長1R
●杉田拓也（王者・橋本PREBO）
判定3-0
〇新井丈（キングダム立川コロッセオ）
※新井が第2代王者となる

　後日、団体から「今大会ベストバウト賞」と認定された一戦は、引退を決めた46歳の杉田と、修斗などMMAで「盛り上がる試合はするが勝てない」という壁を何とかぶち破りたい21歳の新井が、互いの想いをぶつけ合う熱い戦いとなった。

　ナックルファイトはボクシングルールをベースに、2Rの超短期決戦、バックブローOKなどのルールが盛り込まれたファイト。通常10オンスだが、両者合意によりこの一戦は8オンスで行なわれた。

　杉田はプロボクサーとして20歳でデビューしたが、3連敗を機に引退。だが「負けたままの自分が悔しくて」43歳でナックルファイターとしてリング復帰し、王座を獲得した。対する新井は本戦第1試合で杉田への挑戦権をかけ、元プロボクサーの浅海俊人（府中ムエタイクラブ）と対戦。2Rに豪快な右フックでダウンを奪い、最後はパンチ連打でKO勝利。勢いに乗り一気にタイトル奪取を狙う。

会場に駆けつけた両親や再挑戦の場を与えてくれた団体、対戦相手の新井らに感謝を述べた杉田

　1Rは思いきりよくパンチをふるい、離れ際の右フックもヒットさせた新井のラウンド。だがクリンチでしのいだ杉田は2R、疲れの見え始めた新井に左アッパーなどシャープな一撃をヒットさせる。「何かと気にかけてくれる先輩」と杉田を慕う新井はエンジンをふかし直し、全力で左右のフックを放つ。それに杉田が呼応し、最後の最後まで両者とも手を止めることなく、場内はこの日最大の盛り上がりを見せた。

　判定勝利で杉田からベルトを継いだ新井は、「MMAで世界を目指したい」と決意を新たにした。また敗れた杉田は「勝った時のコメント以外考えていなかった」としながら、迷惑をかけた両親に「こんな時しか言えない」と改めて感謝を伝え、万感の面持ちで10カウントゴングを聞いた。

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