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ボクシング史に残る名勝負、井岡vs八重樫戦から今日で8年、八重樫が激闘を振り返る=6.20

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2020/06/20(土)UP

八重樫は両まぶたを腫らしながら井岡にパンチを打ち込む(12年6月 写真=BOXING BEAT)

 今からちょうど8年前、2012年6月20日は、WBCミニマム級王者の井岡一翔(いおか・かずと=井岡)とWBA同級王者の八重樫東(やえがし・あきら=大橋)による、日本プロボクシング史上初の現役世界王者同士による団体王座統一戦が大阪府立体育会館にて行われた記念すべき日だ。

 会場となった大阪府立体育会館は満員の8,000人のキャパを超え8700人が押し寄せた。

 テレビ中継はTBS。井岡の試合の中継権がTBSと毎日放送系に対し、八重樫の試合中継権はテレビ東京系にそれぞれあった。さらにはWBAとWBCでは世界タイトル戦の公式ルールの相違があったが、両陣営の熱意で合意、実現に至った。

八重樫にパンチを打ち込む井岡(12年6月 写真=BOXING BEAT)

 今から8年前となったこの試合について八重樫にインタビューすると、まず「八重樫東というボクサーを世間の人に認識してもらった試合。あれがなかったら、ただの世界チャンピオンで終わっていた。自分にとっては初の全国放送された試合だったし、世間一般のウケが良かったのは井岡戦だった。これまでの試合の中で5本の指に入る好試合。1番を決めるのは難しいけれども」と語った。

 試合は八重樫のプレッシャーや回転力が目立つが、序盤からの井岡のジャブによって、2Rには既に八重樫の左目は腫れている。
 4Rになると井岡はタイミングを掴んだのか、ジャブで八重樫の突進を止めるが、八重樫の右フックもヒットし激戦の様相を呈してくる。

 4Rまでの採点は、ジャッジ全員が38-38のイーブン。この時点で八重樫の左目は大きく腫れており、加えて右目の腫れも目立つ。

 5R、八重樫が一気に前に出ると、右フック、右アッパーと連続でヒットさせ猛攻。しかし6Rには、井岡の右フックが、八重樫の腫れた左目を襲う。その後も左目を狙い続ける井岡。
 八重樫はたびたび両眼のドクターチェックを受ける。

 8Rまでのジャッジは、一人が76-77で八重樫、二人が77-75で井岡だが、いずれも僅差。八重樫の両眼はパンパンに腫れ、視界は確保出来ているのか。

 9R、サークルし距離を取りながら、ジャブを打ち込む井岡に、八重樫の渾身の左フックが当たり、井岡の足が止まる。しかし10R中盤には井岡が打ち合いに応じ、八重樫をロープ際へ追い詰め連打を浴びせてみせた。

 11R、ジャブで前に出る井岡。八重樫のコンビネーションブローを受けるも下がらず、打ち合いに。鼻血を流す八重樫だが、接近しボディからの連打で返す。

 ラスト12Rも激しい打ち合いに。井岡は怒涛のジャブ連打をヒットさせると、八重樫が接近戦に持ちこみ互いに足を止めて打ち合う。
 二人の止まらない回転の中、八重樫の左フックがヒットすると、井岡がたまらずクリンチ。その後も両者一歩も引かない打ち合いの中、最終ラウンドのゴングが鳴った。

 結果は、井岡が3-0 (115-114、115-113、115-113) と僅差で激闘を制した。井岡はWBC王座3度目の防衛とWBA王座獲得を果たし、団体王座を統一した。

判定は僅差で井岡に(12年6月 写真=BOXING BEAT)

 この判定について八重樫に聞くと「公開採点だったじゃないですか。4ラウンドの時点ではドローだったんですよ。この感じで行けばポイントは取れていると思って戦ってたのですが、でも8〜12ラウンドに関しては、ちょっと帳尻合わされた感があった。これで勝てないんだ、とは思った。(井岡の)ジャブを取ったのでしょうけど。でも顔とか見たらね、綺麗な顔と(自身は)ボコボコの顔だったんですけど。でも判定と言うよりも力は出し切れたと思うので、だからこそ皆さんに認めてもらえるような試合になったのではと思う。パフォーマンス的なことに関してはある程度出せたと言う思いがあるので、判定が出たときにも、ま、しょうがないかという気持ちにはなりました」と、結果よりもパフォーマンスを出せたことで自身を評価した。

 ボコボコに腫れた顔にドクターストップの心配もあった。目が腫れ、何回目かのドクターチェックのときに大橋会長がストップをかけられないようにドクターに「八重樫はもともと目がこんな目だから」と言ったが、八重樫自身は横でそのやりとりを聞きながら「ドクターはそんなこと鵜呑みにするわけがないと思ってました」という。大橋会長の交渉もあってか、日本初の日本人王者による団体王座統一戦試合は続行された。

15年にIBFライトフライ級王者メンドサと激闘を展開し勝利、八重樫は(左)は3階級制覇を達成した

 その後、井岡は昨年6月に4階級王者となり、八重樫も15年12月には3階級王者となったが、17年5月に王座陥落。昨年12月に王座復帰をかけIBF世界フライ級タイトルマッチで王者モルティ・ムザラネ(南アフリカ)に対し善戦したが7Rから被弾が増え、9回にパンチをまとめられたことろでレフェリーがストップ。TKO負けを喫した。

 今年2月、37歳を迎えた八重樫に、大橋会長は引退を勧めたが、八重樫は引退宣言していない。以降、ボクシング界はコロナ自粛となり、八重樫は自身のYouTubeチャンネル「八重樫東のやえちゃんねる 」をオープン。減量レシピやオススメのダイエットトレーニングなどを公開しながら、自身がプロデュースする居酒屋も経営している。再びリングに上がることはあるのか。

▼「八重樫東のやえちゃんねる 」で3分半で効果の出るトレーニングを披露する八重樫

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