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【キック】47歳・後藤まき、年齢を気にしない強さとは=10.29小林愛三と対決

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2020/10/20(火)UP

後藤の強打がスパーリングパートナーを襲う

 10月29日(木)に開催される小野寺力プロデュース大会『NO KICK NO LIFE~新章~』では、小野寺氏の愛弟子・後藤まき(47=RIKIX)が、WPMF女子世界フライ級王者・小林愛三(24=NEXT LEVEL渋谷)と対決する。

 後藤は先日のオンライン記者会見で、47歳という年齢が初公表され話題を呼んだ。
 SNSでは「10歳予想と違ってた、最近の格闘技ニュースの中で一番ショック」「同じ年齢だったのか…老けこんでる場合じゃないな!」などの投稿が相次いだ。

 後藤は昨年5戦もの試合をこなし、6月にはTRIBELATEピン級王者・佐藤レイナにも勝利。続いて寺山日葵や聖愛らチャンピオンクラスとも戦い判定で敗れるも善戦した。
 そんな後藤がイーファイトの取材に、キックボクシングに対する思いや年齢について語ってくれた。

MISAKIの顔面に強烈なストレートを叩きつける後藤

 後藤がキックボクシングをはじめたのは2003年。格闘技観戦が好きで、毎週末のように会場へ足を運んでいたと言う。31歳になり「身体を動かしたいな」と思っていたタイミングで、近所にRIKIXがオープン。代表・小野寺力氏のファンだったこともありすぐに入会したと言う。

 アマチュアで20戦し、プロデビューしたのは41歳だった。後藤は年齢について「始めたのが30過ぎているので『47歳でプロファイター』ということに特別な感情がないです。年取ってるからダメになってる感覚も全くない。去年より今のほうが伸びている気がしているので。デビューした時より、逆に体力ついているような気がします」とそもそも遅い年齢ではじめたので、あまり気にしていないと言う。

大会Tシャツを着てミット打ちに励む

 年齢の”ハンデ”として「もちろん疲れが残りやすいなどはあります。でも自分の身体のことを20歳の時にはわかっていなくても、47歳の今ならよくわかっている。疲れの取り方や、どこまで頑張りすぎたら残ってしまうのか。そこまで考えられている所が、若い子よりもいい所かな」と47年間、自分の身体と付き合ってきたことに自信を持つ。

 続けて「自分とちゃんと向かい合うことが大切になりますね。若い子はそこを気にしないでガンガン行けるけれど、私たちは向き合わないとやっていけない。でも逆に、それが出来れば問題ないのかな」と”己を知る”ことが続ける秘訣だと言う。

 後藤のファイトスタイルは、左のロングフックや右ストレートなどパンチ主体でガンガン前に出るもの。戦い方について「今の若い選手は、キッズから(格闘技を)やっていて技術がすごい。私は年を取ってから始めたし、元々の能力が運動音痴。綺麗には出来ないし、必然的に前に行くしかないんです」と笑う。

 デビュー3戦目からはダウンしたことがないと言う後藤。「必死すぎて、あまりわかってない。試合中は、あまり効いてると思ってない。それに『痛い』くらいだったら踏ん張れるから」と、”年の功”からきたメンタルの強さも打たれ強さに繋がっているのかもしれない。

■「私以外の47歳の選手が出てきた時のためにも、ここでやらないと」

強烈な蹴りを持つ対戦相手・小林

 今回戦う相手は、小野寺氏時代の『KNOCK OUT』女子部エースとして活躍した小林愛三。パワフルな攻撃とアグレッシブファイトが持ち味で、前出の世界王座を含め二冠を経験している。

 後藤は小林の印象を「『世界で一番強い人』じゃないですか。階級も、格から考えても普通なら戦えない相手」と、キャリア最強の相手と見込む。
 さらに「愛三選手も、私相手に判定を狙ってないと思う。倒して当たり前の相手だと思っているでしょうね。それに、テクニック的に判定で勝てる相手じゃない。倒すしかない。この試合に判定は有り得ない、倒すか倒されるか」と勝っても負けてもKO決着になるだろうと語る。

 後藤はSNSで「負けっぱなしの人生を変えるのはここしかない!」と気合を入れている。その意味は「戦績も負けのほうが多い(※7勝9敗2分)ですけど、気持ち良く勝ったことがない。『自分に負けてる』とずっと思ってて。実力を出しきれないままに終わっている。そこを勝つために愛三選手とやりたいと思うんです」と、強敵相手に全力を出し切ると語る。

 さらに「キックボクシングを始めるまでは、自分と向き合って生きてこなかった。のらりくらりと生きてきてしまった。選手になって初めて、向き合うことが出来たと思う。プロになって6年目。過去最強の相手だからこそ、やる意味がある。どれだけ自分の力を出しきれるか」と今回の試合に賭ける思いは大きい。

 今回、47歳という年齢を公表すると、ネットで様々な反響があった。後藤は「年齢自体をそんなに意識してこなかったけど、47歳ってちょっと違うんだなと周りの反応でわかりました。同じくらいの年の人が『自分も、身体痛いとか言ってる場合じゃない』と書いてくださったことも。うれしかった、私も同年代の背中を押せるような人であったらいいな」と反響に喜んだ。

 一方で「普通に負けて、47歳だから仕方ないよね、と思われるのが一番悔しい。これからは選手寿命が伸びていくと思う。私が47歳だから、自分でもやれると思ってもらえるように。そして私以外の47歳の選手が出てきた時のためにも、自分がここでやらないと」後続の”遅咲きファイター”たちのためにもこの試合は負けられないと言う。

 最後に「ぱんちゃん璃奈選手が、(レベルスの)王座戦前にSNSで『一生独身でいいので、ベルトが欲しいです』と言っていた。その気持ちがわかる。私はお酒が本当に好きなのですが、一生お酒飲めなくていいから、この試合を勝ちたいと思います」と熱く意気込んだ。

(練習写真・文 遠藤一)

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