2025/05/25（日）UP
（最終更新：2025/05/28 12:40）

高速パンチ女子・目代結菜がパワーアップ

　5月31日（土）～6月1日（日）、東京・有明アリーナで開催されるフルコンタクト空手界で初となる、流派・団体を超えた世界統一戦『第1回全世界フルコンタクト空手道選手権大会（WFKO）』。
　この大会の女子軽重量級（65kg以下）では、“高速パンチ女子大生”目代結菜（23＝新極真会東京城南川崎支部）が悲願の世界王者を目指し、筋トレと打撃力向上に取り組みパワーアップ。
　ベンチプレスはなんと40kgから70kgへ増え、バルクアップした上半身も見せてくれた。

【フォト】彼女の盛り上がる肩と背筋！ド迫力パンチ追い込み練習も

　目代は2年前の新極真会世界選手権で3位、昨年の全日本では2位と無差別でもメキメキ結果を出している。

　目代が所属する東京城南川崎支部へ大会２週間前に取材に行き調子を聞くと、彼女はは満面の笑みを浮かべて「最高です。本当に、今までにないくらい心の状態がいいですね」と即答してくれた。

パワーアップした気迫のパンチ

　その背景には、1ヶ月半前から始めたメンタルコーチングの存在がある。「悩みを全部整理して、一つひとつ対処していくことで、自分自身がすごく楽になったんです。去年は些細なことで気持ちが沈んで、正直きつい時期が多かった。でも今は一度もそういうことがなくて、ずっと明るく前向きでいられる」。

　ミットや組手の練習中も、ただ闘志を燃やすだけでなく、相手を“よく見て”闘う冷静さを意識するようになった。
「たとえば、いい技をもらったら昔はカッとなってすぐ打ち返すという場面があった。普段の生活でも、前だったらイラッとしてたようなことでも、今は気持ちをコントロールできる。そういう“心のトレーニング”を常にしています」という目代。
　攻撃一辺倒ではなく、「相手が嫌がる攻撃」を見極める目と心の余裕。技の幅が広がったとも語る。

「今、過去一で強い自分がいる」5年目の肉体改造

前蹴りを突き刺す

　世界の舞台で押し負けないために、身体づくりにも妥協はない。試合が立て込んでいた昨年は“瞬発力重視”の調整だったが、今回はしっかりと“土台”を作り込んできた。
「10月の前回の試合後から、高重量のウエイトトレーニングに取り組んできました。今が一番、過去一で強いです」

　パーソナルトレーニング歴は5年目。ベンチプレスの最大重量は40kgから70kgへと倍近くに成長。体重の増加はわずか2kgほどながら、体脂肪は落ち、筋肉量が明らかに増加しているという。
「見た目も変わりましたよ」と笑いながら、シャツの袖をまくって見せてくれた腕と肩。引き締まり、研ぎ澄まされた筋肉が仕上がりを物語る。

　さらに、低酸素環境でのタバタ式トレーニングも導入。短時間で心肺と瞬発力を同時に鍛える過酷なメニューも、自信に変えてきた。

圧倒的な優勝を──「女子選手らしくない勝ち方をしたい」

パワーアップした腕と肩を見せる目代結菜

　今回の軽重量級トーナメントでは、全日本3連覇の久保田千尋、昨年の全日本準決勝で再延長の末に下した網川羅夢（福岡支部）、新極真の全ヨーロッパ大会同級優勝のイヴァンカ・ポポヴァ（ブルガリア）、そして昨年11月、初のEFKO（ヨーロッパフルコンタクト空手道連盟）ヨーロッパ大会で同階級で優勝したアネタ・メスカウスキエネ（リトアニア）らと強豪がズラリと並ぶ。

　彼女たちが目代に接近戦を仕掛けてくることは想定済みだ。だが、目代は迷わず「ゼロ距離戦が多いけど、自分の距離を貫いて圧倒的な優勝を目指します」と言い切る。
「女子選手らしくない戦いも取り入れつつ、勝ちにいきたい。ただ優勝ではなく、圧倒的な優勝が今回の私の目標です」と強く意気込んだ。

　相手に間合いを潰される“ゼロ距離”を避け、パンチと蹴りのコンビネーションで自ら仕掛ける空手を徹底するという。ローキックについても、師匠・入来武久氏からのアドバイスを胸に刻む。
「先生に『足先じゃなくスネで蹴れ』と言われて。それで相手のバランスが崩れるようになったんです」。

　中学1年で入来師範の元に移籍して以来、10年にわたって築いてきた信頼関係。恩師への思いも、今回の闘志に火をつけている。
「入来先生のためにも、絶対に初代全世界チャンピオンになります。今の私は明るくて、強い。そんな私で優勝したいです」。

　これまでの苦悩も、敗北も、すべてはこの瞬間のためにあった。女子空手界の進化系、“高速パンチ女子大生”目代結菜。5月末、有明でその真価が試される。

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