【1月・ベストファイター】Krush王座戴冠の加藤虎於奈に決定、夢は兄レオナの引退試合で「殺し合うように戦いたい」その理由とは
毎月イーファイトのサイト名にちなんで、より良い試合をした選手に贈られる、格闘技月間ベストファイター賞。2021年1月のベストファイターは、2021年1月23日(土)東京・後楽園ホールで行われた『Krush.121』の[Krushウェルター級(-67.5kg)タイトルマッチ]で、王者・山際和希(32=谷山ジム)を下して、第8代王者に輝いた加藤虎於奈(24=TEAM TOP ZEROS)に決まった。(2021年2月20日UP)
PROFILE 加藤虎於奈 (かとう・こおな) 現Krushスーパー・フェザー級王者であるレオナ・ペタスの実弟。空手をバックボーンに、K-1アマチュア チャレンジAクラス-70kgで優勝を果たすなどアマチュア時代から活躍。17年12月にプロデビュー、180cmの長身から繰り出されるしなやかな打撃を武器に、順調にキャリアを重ねる。 19年7月には、Krushで日本vs中国の対抗戦に選出され、加藤より50戦キャリアの多い、中国の強豪ジャン・チュンユーと対戦。惜しくも敗戦したものの、ポテンシャルの高さを見せた。その後、昨年8月の第7代Krushウェルター級王座決定トーナメントに参戦が決まっていたが、右足首の怪我で欠場。昨年11月の再起戦では松岡力に勝利し、今年1月にタイトルマッチが実現。山際和希を下して、Krushで初戴冠を成し遂げた。Krushで兄弟王者は団体初の快挙だ。 |
選考理由
1、プロ8戦目にしてベテラン王者を完封し、Krush王座戴冠
2、兄レオナ・ペタスと共に、団体初の兄弟王者に
3、初のメインイベンターとして、スリリングな攻防で大会を締めた
選考委員
格闘技雑誌Fight&Lifeとイーファイトの全スタッフ
受賞されたレオナ選手には、ゴールドジムより以下の賞品(アルティメットフレキシジョイントUC–Ⅱ 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アミノ12パウダー 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
ベストファイター記念インタビュー
2021年1月23日(土)東京・後楽園ホールで行われた『Krush.121』の[Krushウェルター級(-67.5kg)タイトルマッチ]で、加藤虎於奈(24=TEAM TOP ZEROS)が王者・山際和希(32=谷山ジム)を下して、第8代王者に就いた。
■ベテラン・山際を完封し王座戴冠、加藤虎於奈スタイルの真髄とは
昨年8月に行われた、Krushウェルター級王座を決めるワンデートーナメントに加藤の姿はなかった。右足首の負傷により、欠場が決まった際のインタビューでは「俺は何やってんだろと思ってメチャ涙が出てきました」と悔しさを滲ませていた。
昨年11月の再起戦では、松岡力に勝利したものの、自身にとっては(松岡の掴んでのヒザ蹴りによる)反則勝ちのため、不完全燃焼となった。試合後のマイクではタイトル戦をアピールした。
これまでの実績が評価されて山際とのタイトルマッチが組まれた。本来は、加藤の試合の翌日に兄レオナ・ペタスが、武尊とのK-1のタイトルマッチを迎える予定であったが延期に。怪我や様々な状況を乗り越えて、加藤はこの日のタイトルマッチに臨んでいた。
加藤は、普段から落ち着いた精神状態で試合に挑んでいる。この日がタイトルマッチであることも、加藤の精神状態に特に影響はなかった。「落ち着いてしっかり自分のやれることを出来たのは良かった。普段から緊張はしないんですけど、(今回も)凄くリラックス出来た」と自然体で大一番を迎えた。
しかし、今回、相手がキャリア50戦を誇るベテランの山際であるからこそ、念入りに対策を練った。参考となったのが、昨年11月のBigbangで、山際がFUMIYAを相手にバックブローを右顎に喰らい一発KO負けを喫した試合だ。「(山際が)左の蹴りに対して対応出来てなかった」と山際の右のガードの甘さを指摘。「だから、左の前蹴りなどで距離を取りました。後は、詰めてくると思ったので、上手くいなしてタイミングで倒したかった」という。
試合は、加藤の対策の通りの展開となった。1R、2Rは自身の蹴りを中心に様子を伺いながら、的確に攻撃をヒットさせる。そして遂に、加藤は3Rに決定的な勝負の決め手を取りに行く。ラウンド後半に山際を左の前蹴りから左飛びヒザでコーナーに追い込んでパンチのラッシュ、左フックで大きく山際のアゴが跳ね、連打で再び左フックが入り、王者からダウンを奪取。分析どおり山際の右のガードが甘く左の攻撃が入った形だ。
結果的には、序盤のラウンドも加藤がポイントを取っており、判定3-0(26‐30、27‐30、26‐30)で大差の判定勝ちを収めた。
3Rにダウンを取った際には、兄レオナ・ペタスからのアドバイスを思い出しながら戦った。山際がベテランで戦績が豊富であるため「相手は(ダウンからの)回復の仕方が分かっているから(焦ってパンチで)突っ込みすぎるな」との言葉から、ダウンを奪取後も、その作戦を最後まで遂行した。
ただレオナからは、試合前には「やりたいようにやっていいよ」とあくまで加藤のスタイルを貫くというメッセージをかけて貰っている。それは加藤の強みが、”自身で考えながら自然体で戦う”ことだからだ。加藤は試合の中で、思いつきで放ったというカーフキックや左右のスイッチなど、様々なバリエーションを見せてくれる。
加藤自身も、そのスタイルについて「感覚的に動いていたら、そのファイトスタイルになりました。カチッとする方が苦手で、マニュアル通りにやってても楽しくない。だから、ちゃんと自分の戦いたいように戦うのがいいのかな」との思いがある。バックボーンである空手時代には、そのようなスタイルは全くなかったが、キックボクシングに転向してアマチュアでキャリアを積みながら、自然とその戦い方を確立させていった。
■兄・レオナと引退試合で激突!?「むしろ闘いたい」訳とは
加藤にとって、兄レオナの存在は大きい。レオナは34戦のキャリアを誇り、現在は村越優汰や大岩龍矢などの強豪を相手に9連勝中。3月にはK-1世界王者・武尊とのタイトルマッチも控えており、常に実力で加藤に背中をみせてくれる兄だ。
「色々怪我とかあってこれまではKrushのベルトに届かなかったけれど、今年に入って、兄弟2日連続でタイトルマッチが出来るようになった(レオナのタイトル戦は延期に)。(兄は)二十何戦目の時に、”歴戦の拳”と言われるくらい試合を沢山してチャンピオンになった。俺は”新星”として、チャンピオンになれたと思います」と、兄とは違った形でベルトを獲得できたと認識している。
そして、加藤はレオナに対して意外な心情があることを明かした。何とレオナの引退試合で、”兄弟対決”に挑みたいというのだ。兄弟対決というと、新生K-1では2度に渡って激突した卜部兄弟の試合が思い出される。その際は、両者とも元々対戦を望んでいたわけではなく、両者が同階級であったため、世界王者を決めるために実現したもの。その形ではなく、加藤は兄との試合を「キャッチウェイトの-65kgほどでやりたい」と前向きに考えている。
「がっつり殺し合いが見れると思いますね。(闘いたくないという心境はなく)むしろ闘いたいですね。なめられているので(笑)『(加藤がベルトを巻いていない際に)俺の方がベルトを獲っていて有名』って言ってきます。今回『(自分が)ベルトを獲ったから一緒だ』と言ったんですけど、『俺は次K-1のタイトルマッチ決まってる』って言ってくるんですよね。兄なので一つ上を言っておきたいんでしょうね。緩い試合はしないし、全然普通に試合って感じになります。見てる人は面白いと思います」
お互いに切磋琢磨する関係であり、最強のチャンピオン兄弟であることは間違いない。2人が見据える先は、世界最高峰の舞台であるK-1王座の戴冠だ。K-1のベルトを2人が獲得すれば、またもK-1史上初の快挙となる。その領域を目指し、2人は走り続ける。
▶次ページは、東京オリンピック柔道日本代表・向翔一郎との切磋琢磨、21年の目標を語る
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