【ボクシング】山根明氏と「奈良判定」の選手が再会
疑惑の一つである「奈良判定」が昨年の流行語大賞にノミネートされるなど、競技の内紛を社会問題規模で露呈した日本ボクシング連盟・前会長の山根明氏(79)は、ボクシング界を退いてからも、その強烈な個性でタレントのように注目され、今もその男気に惹かれるファンが多い。
ちなみに3月24日(日)東京・神保町で行われた自叙伝『男 山根「無冠の帝王」半世紀』の発売記念トークイベント『サイン&撮影&“男気注入”会』では、「奈良判定」で話題となった選手と、不意打ちで再会するひと幕もあった。
「ワシはコワモテではありません!愛情に満ちていたんです」
トークショーの際、壇上からそう豪語した山根氏のオーラは、十分コワモテ系に感じた。しかしイベント参加者とのツーショット写真の際、肩を組むことを気軽に許したり、逆鱗やタブーであったはずの「奈良判定」をパロディにしたTシャツを着た客が現れても「どこかに俺の名前で儲けているヤツがおるねん」と笑い飛ばすなど、過剰にプライドを誇示する様子はなく、勢いに乗ったスター性すら今も感じさせる。
ところがイベント中、そんな山根氏を動揺させた珍客がいた。兄弟2人で来ていた弟がふと立ち上がると、山根会長のもとへ歩み寄って、「兄とご挨拶に来ました」と握手。このサプライズに山根会長は「ええのか?俺と関わると干されるぞ?」と心配の声をかけたが、客席の多くは、彼らがどんな存在かに気づかなかっただろう。「奈良判定」の代表的な試合としては、連日、2016年岩手国体でのある試合が様々なメディアで取りあげられたが、実はその試合で勝った選手こそが、ここに来ている兄弟ボクサー兄のほうだった。
その試合での彼は「2度ダウンをしていたにも関わらず、判定勝ちはおかしい」と安直に批判されることが一般的に多かった。しかし関係者では「勝たせようとすれば勝たせられる内容だった」という認識も少なくなかった。つまり、どちらにも採点を振り分けられる試合で、山根氏の膝元である奈良県の選手たちが、毎回、極端に優位だったことが、「奈良判定問題」の真の根幹だった。
とはいえ「選手自身に罪はない」という配慮で、昨年、内紛騒動でも、彼の顔はすべて隠された形で報じられたが、本人は「今の時代、ネットで調べればすぐに分かるから」と苦笑い。一連の騒動に関しては「第一報がプロボクシングの世界戦中継の後だったと思う。ボクシングファンなら一番観るタイミングで流れたわって。自分自身も試合を控えている時だったので集中しようと思っていたけど、とにかくあちこちで話題になっていて“うっとうしいわ”って思ったのが本音でした(笑)」と振り返った。
今回のイベントには、弟がプロに転向する際、山根氏が都内のジム会長に掛け合ったものの、以降、疎遠だったので、イベントを確認するやいなや、兄に参加を誘ったという。双方、「ボクシング界から退いても本当に面倒を見てくださった人であることには変わりないので」と忠義を示し、他の客から「どこでボクシングをしているんですか」と聞かれると、今も「奈良です」と答えた。
両選手は現在、プロボクサーとして全勝中だ。山根氏にも「いつか世界チャンピオンのベルトを持って、またご挨拶したい」と口をそろえた。
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