【新極真会】緑代表、世界大会で満員の観客動員と男女W優勝達成の秘話
新極真会主催の4年に1度の空手オリンピック『第12回 全世界空手道選手権大会』。11月9日(土)、10日(日)と行われ、決勝日となった10日は満員の観客が詰めかける中、男子は島本雄二(29=177cm、92kg)がマシエ・マズール(28=ポーランド/185cm、95kg)を本戦判定3-0で下し2連覇を達成、中村誠の世界大会2連覇(79年、84年)の偉業に並んだ。
女子は南原朱里(20=154cm、54kg)がインガ・ミクスタイテ(38=リトアニア/166cm、63kg)を本戦判定5−0で下し初優勝。前回大会の決勝で南原が外国選手に負け、日本が王座を奪われてしまった雪辱を果たした。
試合後、新極真会の緑健児代表の記者会見が行われ今回の大会を振り返った。
緑代表は選手を引退してから組織の副代表として初の大会運営となった1996年の第6回世界大会から常に会場を満員にしたいと願っていた。それは自身が大山倍達総裁が存命中の1991年の第5回世界大会で満員の観客の中で優勝を経験できたことが大きい。
緑代表は「選手が輝いているこの場を満員にしたいと、そういう想いがあり、いろんな方々からサポート、アドバイスを受け、今回、会場が満員になったのを見て、本当に感謝の気持ちをお伝えしたいです。選手はあれだけ満員の中で戦えるのが喜びだと思います。新極真会、フルコンタクト空手の会場は位置も満員だと思われるように今後も皆さんのご協力を得てますます頑張って行きたいと思います」とし、観客の日本選手の応援についても「その応援を背中に受け選手は頑張ることが出来ました。この場を借りてお礼を言いたいです」と感謝を伝えた。
男女優勝ができたことについては「いろいろ合宿を重ね、男女共優勝という目標に向かい苦しい稽古を頑張ってきました。入来建武(前回世界準優勝)が負けABブロックで日本人選手がいなくなり、厳しいムードになりましたが、Dブロックの島本選手が安定した戦いで勝ち上がってきました。決勝のマズール選手とは厳しい戦いになるかと思いましたが、マズール選手は準決勝のヴァレリー選手とのダメージもあり、(更に)的確に技を決めダメージを与え本戦で勝つことが出来ました。男女W優勝出来てホッとしてます。男子は第1回世界大会から日本が王座を守り抜くという使命でやってきています(全て日本が王座)。女子は奪還できて選手たちも喜びがひとしおだと思います」
優勝した島本の勝因については「島本は打たせずに打つと言うテーマでやっていて、相手の攻撃をブロック、または受け流して的確に攻撃を与えています。試合は全て本戦決着。心も強い選手で心技体充実していたのだと思います」と初戦から全て本戦決着で勝ち上がり優勝した島本を称えた。島本のデフェンス力は選手、関係者ともに評価する声が多い。いくら攻撃してもブロックされ、なかなか攻めることが出来ない。また、被弾しないため、体重無差別のサバイバルトーナメントをダメージを最小限で勝つことができるのだ。
女子で初優勝の南原については「1日目でふくらはぎを怪我し、歩けない状態でしたが、鍼治療で何とか歩けるようになり、決勝は前回(決勝で)負けた悔しさ、背負ってきたもの全てぶつけて完全勝利したと思います。『怪我をしても勝つ人は勝つんだ』という話を本人にした中でそれを実行してチャンピオンとなり、本当に強い精神の持ち主だなということを感じてます」と歩けないほどの怪我を乗り越えての勝利だったことを明かした。
今回目立った海外強豪選手や国に関しては、今大会で準優勝したマシエ・マズールを筆頭とするヨーロッパ勢と言い、新鋭では山本和也(日本)を下すなどして勝ち上がり、6位に入賞したエヴェンタス・グザウスカス(24=リトアニア/189cm、98kg)を挙げ「まだ24歳で茶帯、まだ伸びて行くと思います」と語った。
また、緑代表が大穴としたパウリス・ジマンタス(19=リトアニア/19年全ヨーロッパ重量級2位/186㎝、98㎏)は2戦を突きで1本勝ちを重ねるも4回戦でイリヤ・ヤコブレフ(32=カザフスタン/183cm、100kg/KWF世界+90kg級優勝)に本戦で判定負けしたことについて「ヨーロッパ大会の勢いを見て台風の目になるのではと期待したが、今回はそれほどの強さは感じられませんでした。まだ19歳なのでこれからしっかりと練習をしたら日本勢にとって脅威の選手に育って行くのではと思います。勝ったイリヤ選手はカザフスタン初のベスト8ということでカザフスタンもまた盛り上がって行くのではないでしょうか」と今後の海外の進歩に期待した。
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