【新極真会】世界に挑む小さな女子王者・菊川結衣、芦原空手のサバキステップで「180cmの選手に勝ちたい」
11月9日(土)、10日(日)の二日間にわたって、武蔵野の森スポーツプラザにて開催される新極真会の『第12回全世界空手道選手権大会』。直接打撃制の素手によるフルコンタクト、体重無差別の過酷なトーナメントとなる。
新極真をはじめ300超の流派、団体が加盟するJFKO(公益社団法人 全日本フルコンタクト空手道連盟)が主催する今年5月のJFKO全日本大会で4各階級の優勝者が、この世界大会の出場資格を獲得した。結果、他流派として女子の部では3人が出場する。軽量級からは菊川結衣(21=芦原会館)、軽重量級からは浅古麗美(22=極真会館木村道場)、重量級からは久保田千尋(23=久保田道場)だ。
菊川は他流派の中では唯一人、前回15年の世界大会にも出場。身長148cm、体重50kgと小柄ながら世界の強豪と渡り合い、四位入賞という結果を残している。芦原会館独特の打たれずに打つ”サバキ”と呼ばれる左右のステップワークと、そこから繰り出される強烈な突きが武器。新極真会の全日本大会(無差別)にも例年出場し、2014年には準優勝。前述のJFKO全日本大会では全人未踏の5連覇(女子軽量級)を達成した。
菊川は今年のJFKO大会前に「選手をやめよう」と考えるほど、試合前に出場を悩んだ経験がある。菊川は「今回は体の面では追い込むけれど、心を追い込むのはやめようと思いました。『もっとちゃんとやれよ』と自分を責め過ぎない、(思うような練習が出来なくても)自分のことを嫌いにならない。自分との付き合い方を変えてみて初めての大会になるので、どんな結果になるのか楽しみです」と語る。
菊川の持ち味の一つに、自分より大きな相手に向かい一歩も引かず打ち合い続ける気の強さがあるが「今回は気持ちで勝とう勝とうとするよりも、相手の戦い方に合わせて組手を変えてみようとも思っています」と笑って語る。だが負けん気が封じられたわけではなく「180センチの選手が同じブロックにいるので、戦ってみたい」とも。
勝ち上がれば、2日目の初戦、準々決勝で2018年新極真会全日本優勝者・久保田と当たる。菊川は一昨年の全日本大会の準々決勝戦で久保田に判定負けを喫した。「とても強かったけれど、リベンジ出来たらいいです。けれどトーナメントを見てあれこれ考えるよりも、今回は自分と戦ってきました。強くなるために、どれだけ自分と仲良く出来たか試したいという気持ちのほうが、誰を倒したいという気持ちよりも強いというのが正直なところです」と平常心の自分で大舞台に臨む。
菊川がリベンジを狙う久保田にも話を聞いた。久保田は2017年全日本の決勝では新極真女子エース・南原朱里に敗れたが、翌年の決勝でリベンジし他流派初の全日本制覇を成し遂げた。
JFKO全日本大会でも3度、さらに昨年のJFKO国際選手権大会でも優勝している(全て重量級)。威力も手数も兼ね備えた突きと、尽きないスタミナ・気力が武器だ。今大会では第一シードに陣取り、優勝候補筆頭と言える。
久保田は何年も前から「新極真会の世界チャンピオンになる」と公言しており「自分が言ってきたこと、目標としてきたことの達成として大事な試合。結果を残さないと」と静かに意気込む。
今回の大会は「厳しい戦いが続くと思う。誰が見ても勝っているような、圧倒的な強さを見せて勝ち上がりたい。パワー負けしないこともさながら、どれだけ自分の攻撃を当てられるかが勝負」と念願の舞台に遂に立つ。
最後に他流派として出場するのは浅古麗美だ。極真会館木村道場に所属し、極真連合会の女子エース。2017年の連合会による世界大会(ウエイト制)では準優勝。
彼女はAブロックに位置し、前回の世界大会準優勝者の南原朱里との一戦を目標にする「準々決勝戦で当たると思います。南原さんと戦ったことはないのですが、中学生時代に同じ階級でずっと試合を見てきました。胸を借りるというか、食らいついてきます」と打倒南原と力を込める。「頑張って延長まで持って行き、再延長が勝負。ここで勝ったら大会一番の番狂わせですよね。自分の動きを貫いて、彼女の得意なパターンに持ち込ません」と南原得意の足技や近距離のフックを封じて勝つ。
”他流派”と言えどもそれぞれ思いが深い大舞台。最後に立って笑うのは誰か。
<女子注目選手>
・久保田千尋(23) 久保田道場
身長:161cm 体重:66kg
戦績:2018年JFKO国際大会(重量級)優勝、2018年全日本優勝、2014年・2017年・2018年・2019年JFKO全日本(重量級)優勝
・南原朱里(20) 新極真会 福岡支部
身長:154cm 体重:54kg
タイトル:2015年世界大会準優勝、2017年全日本優勝、2017年世界ウエイト制(中量級)優勝
・イリーナ・ワリエワ(31) 新極真会 ロシア支部
身長:173cm 体重:63kg
戦績:2016年全ロシアウエイト制(軽重量)優勝、2018年ロシア無差別級優勝
・インガ・ミクスタイテ(38) 新極真会 リトアニア支部
身長:166cm 体重:63kg
戦績:2010・2011・2012・2014・2015・2018・2019年全ヨーロッパ(中量)優勝、2011年全世界大会4位、2016年全ヨーロッパ(軽重量)優勝
・加藤小也香(26) 新極真会 愛知山本道場
身長:158cm 体重:53kg
戦績:2013年カラテワールドカップ(軽量)優勝、2014年全日本優勝、2014年・2016
年・2019年JFKO全日本優勝
・菊川結衣(21) 芦原会館
身長:148cm 体重:48kg
戦績:2014全日本大会準優勝、2015全世界大会第4位、2014~2019JFKO全日本(軽量)優勝
・浅古麗美(22) 社団法人 極真会館
身長:152cm 体重:59kg
戦績:2017年極真連合杯世界大会(軽量)準優勝、2019JFKO全日本(軽重量)優勝
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