リアル”氷上の格闘技”、流血も!アイスホッケーリンクで闘う「Ice Wars」の初代ヘビー級王者が決まる
5月21日(土・現地時間)カナダ・エドモントンで、アイスリンク上でアイスホッケーの装備をまとい殴り合いをする格闘技『Ice Wars』が開催された。2000人の観衆の中、8人のワンデートーナメントが行われ”初代ヘビー級王者”が誕生した。
【動画】これが”氷上のKO”だ!ヘッドギア飛ばしてド突き合い、流血も
出場するファイターたちは、いずれもアイスホッケー経験者。決勝には、アイスホッケーで1年で7試合もの出場停止となった経験を持つ”喧嘩屋”ダニエル・エイムズベリー(カナダ)と、やはり荒くれプレイヤーのジャスティン・ソーヤー(カナダ)。
試合が始まると2人は即座に駆け寄り、ジャブを出すと、その手で相手の服を掴みにかかる。氷上のスケートでは足元が滑りやすいため、掴んで固定するのだろう。互いに掴み合い、もう一方の手で顔面を滅多打ちにする、超接近戦の殴り合いが続く。蹴りは禁止されているのだ。
するとソーヤーのパンチで、エイムズベリーのヘッドギアが落ちてしまった。しかしアイスホッケーと同じく2名いるレフリーは無視。ヘッドギアが外れても、有効打によるものならオッケーなのだ。
しかし負けん気の強いエイムズベリーは、前へ出てソーヤーを押し倒してしまう。するとレフリーに離され、仕切り直しだ。グラウンドの攻撃は認められていない。
最終的には互いのヘッドギアが落ちた状態で殴り合い、よりアグレッシブで有効打の多かったエイムズベリーが勝利、初代ヘビー級王者に輝いた。
元々アイスホッケーでは、”ファイティング”として1対1の素手の乱闘が、戦術の一つとしてルール上許されている。この大会はその”ファイティング”の部分だけを抜き出したものと言えるだろう。
通常のファイティングでは20秒がせいぜいだが、この大会では1分2R。アンダーカードではKOによる決着もあった。
■アイスホッケーの戦術『ファイティング』とボクシングを組み合わせる、安全性も課題か
この大会の主催者はAJガランテというアメリカ人で、元々はプロレス技をファイティングに使用するほどの荒々しい学生アイスホッケープレイヤーだった。怪我でプレイは出来なくなってしまったが、富豪だった父親からなんとアイスホッケーチームをプレゼントされ、自分の理想とするダーティなラフプレーを売り物にするチームのオーナーとなった。しかし父親が違法ビジネス容疑で捕まり、チームは解散した。
その後ガランテはボクシングジムの経営やプロモートに携わっていたが、その経験を生かし今回この全く新しい格闘技団体を立ち上げたのだ。
現在アイスホッケー界で起こる”ファイティング”の割合は、減少を辿っている。”ファイティング”好みのガランテがこれを憂いて立ち上げたのかはわからないが、ガランテは「現在のNHL(ナショナルホッケーリーグ)よりも安全な基準や防具で行っている」と主張しており、『Ice Wars』を競技として発展させていこうとしているようだ。
アイスホッケーでも脳震盪や、氷に頭をぶつけて後遺症に苦しむなどの問題は起こっている。安全性の問題をクリアし『Ice Wars』は格闘技として発展してゆけるのか。
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