2023/07/28（金）UP
（最終更新：2023/07/28 19:20）

鈴木千裕（左）とパトリシオ（右）の試合は、順当な結果になるのだろうか（写真は26日の会見時）

　7月30日（日）さいたまスーパーアリーナで開催される『超RIZIN.2』の直前インタビューが行われ、70kg契約で対戦する現ベラトールフェザー級王者パトリシオ・ピットブル・フレイレ（ブラジル）と鈴木千裕（クロスポイント吉祥寺）がそれぞれ登壇した。
　この試合はAJ・マッキーの欠場により、RIZINが急遽追加カードで用意したもの。2人とも、大会約1週間前にオファーを快諾した。

【フォト】最強ピットブル兄弟ツーショット、朝倉未来と練習するパトリシオ

　パトリシオはベラトールの史上3番目となる2階級制覇王者。空手スタイルの鋭い強打と、柔術黒帯のグラウンド技術を併せ持つベラトールPFPトップ選手だ。昨年大晦日のRIZINでは、クレベル・コイケに判定勝利。今年6月には団体史上初となる3階級制覇を懸けてバンタム級王座へ挑んだが、判定負けした。今大会でサトシと対戦するパトリッキーは実兄。

　対する鈴木は思い切りの良いパンチを武器とし、『KNOCK OUT』の王座を保持するなど、キックとMMAの“二刀流”ファイター。RIZIN5連勝を挙げ、今年6月に王者クレベル・コイケに挑戦。クレベルが減量オーバーで王座剥奪となり、鈴木が勝った場合のみ公式戦となり戴冠することとなったが、1R一本負けした。

パトリシオは余裕の笑みで会見に臨んだ（c）RIZIN FF

　最初に個別インタビューに応じたのは、パトリシオ。サングラスをかけて笑顔で登場した2階級王者は、余裕の笑みを浮かべ「前回の試合から休まずに練習してきたので、調子がいい。日本のファンの前で試合をするのは嬉しいです」と声を弾ませた。

　鈴木については「とてもいい選手で、前回のクレベルの試合、他の試合も見ましたが、私が勝つと思います」と自信満々に語った。パトリシオは朝倉未来と一緒に練習してきたが、今後は戦う可能性もある。それについて質問が飛ぶと「今回、多分、未来がケラモフに勝つ。親友なので対戦するつもりはない」と信頼関係が築かれているようだ。

　また大会直前のオファーを受けたパトリシオは「素晴らしい試合になるでしょう。日本で試合ができることを楽しみにしています」とファンに好試合を見せると約束した。

■鈴木千裕の吹っ切れた表情が何かを起こしそう

　次に記者の前に現れたのは、鈴木だ。2日前の記者会見でコメントを出したばかりだが、この日も「覚悟を決めてきたので、あとはやるだけ」と意気込んだ。

　鈴木は、6月にクレベルに負けてから失意の底へ落ちていたという。しばらく気持ちの整理がついていない中、今回のオファーが届き、「これがキッカケで、気持ちの整理がつきました。エンジンがかかったというか。ずっと、戦いたかったことに気づいた」と次へ向けて気持ちが切り替わったことを告白した。

鈴木は得意の豪腕パンチでアップセットを起こしたいところ（写真は26日）

　相手が、この階級のベラトール王者だったこともあり、断る理由はなかったという。鈴木はオファーを受けた時に「運命な感じがしました。じつはクレベル戦の前、仲間には“クレベル選手に勝って、パトリシオ選手と戦いたい”と話していたんです。勝つことはできませんでしたが、こうして戦うことができるのは運命ですね」と熱く語った。

　たしかに、試合直前とはいえパトリシオと対戦する機会は、勝ち進まない限り困難だ。実績を比較すると厳しいのは間違いないが「打ち合いをしたいんですけど、打ち合ってくれないと思います。自分が相手だったら、楽に勝つ道を考えると思いますので」と、得意の打撃勝負はしてくれないと見ている。

　それでも、「打ち合ってこない中で、打ち合ってくれるように、その気にさせます」と策はあるようだ。いや、策がないのが策なのかもしれない。なぜならば鈴木は「テーマは、“思い切りいく”です。前回は“思い切り”いけなかったんで」と話していたため、豪快にフックを振り回す喧嘩ファイトを仕掛けるのかもしれない。

　鈴木は「直前のオファーを受けたのは、俺と同じように純粋に戦いが好きなんだと思う。パトリシオ選手は全局面で強い。でも俺には若さ、勢い、打撃力がある。打ち合う覚悟です」と語った。負ける覚悟で…ではないが、“万が一”が起こるとしたら、今回のようなパターンなのかもしれない。

　パトリシオの余裕の笑みと鈴木の吹っ切れた表情、2日後のさいたまスーパーアリーナで何かが起こっても不思議ではない条件が揃いつつある。

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