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【UFC】天国の友へ捧ぐ、佐藤天が涙の初陣TKO勝ち

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2019/04/28(日)UP

持ち前のハードパンチで攻める佐藤(右) Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/UFC

Ultimate Fighting Championship
「UFC Fight Night 150」
2019年4月27日(土・現地時間)アメリカ・フロリダ州サンライズ BB&Tセンター

▼プレリム ウェルター級 5分3R
●ベン・サンダース(36=アメリカ)
TKO 2R 1分18秒
○佐藤 天(28=さとう・たかし=TRIBE TOKYO M.M.A)

 佐藤は2013年にプロデビューし、『パンクラス』を主戦場に活躍。昨年3月には元パンクラス・ウェルター級王者の村山暁洋から初回TKO勝利を飾っている。現在までの戦績は14勝2敗。勝ち星のうち9勝がKO・TKO、2勝がサブミッションによるフィニッシュだ。今大会が『UFC』での初戦となる。

 対戦相手のサンダースは04年にプロデビューし、22勝11敗2分の戦績を持つベテラン。13年に『Bellator MMA』のウェルター級トーナメントで準優勝し、その翌年から2度目となるUFC参戦を果たした。UFC復帰後の成績は6勝5敗。直近の2試合で黒星を喫しており、連敗脱出を目指して佐藤を迎え撃つ。

 1R、共にサウスポーの構えでスタート。佐藤は細かい右ジャブと左ストレートを散らし、時おり右インローも蹴る。一方、サンダースは重心を上下させたり、左右にステップしたりしながら、変則的な軌道の左右フックと左ローを返す。

ダウンしたサンダース(下)にエルボーでとどめを刺す佐藤(上)

 首相撲からのヒザ蹴りも積極的に狙うサンダース。佐藤は距離を取って左ストレートで仕掛けんとするが、サンダースに右フックのカウンターを合わされ、腰が一瞬落ちてしまう。すぐに立て直してステップを再開した佐藤に対し、サンダースはケージに押し込んでヒザ蹴りを入れ続けた。

 2R、互いに右ジャブを突き合う展開の中、佐藤が鋭い左ストレートをヒットさせ、主導権を取り返す。佐藤の右ジャブにも顔をしかめるサンダース。佐藤はこの好機を逃さず、右手でサンダースのガードを払いのけると、技ありの左ストレートでアゴをひと突き。これでダウンしたサンダースに対し、佐藤はすかさず鉄槌とエルボーを浴びせ、レフェリーストップを呼び込んだ。

 佐藤がUFC初戦でTKO勝ち。試合後の勝利者インタビューでは、「この町には以前2回ほど練習で来たことがあります。大好きな町でデビュー戦を迎えることができて嬉しく思います。固くなったところもあって内容は良くなかったですが、弾みのつく試合にはなりました。次もKOで会場を沸かせたいと思います」と今後の活躍を誓うコメント。

 さらに、「天国にいるチームメイトの秋葉尉頼(2016年8月、交通事故で逝去)もこのUFCで戦いたいと思っていました。僕は彼を必ずこの場所に連れてくることを約束していたので、この勝利は本当に嬉しいです。この勝利は彼に捧げたいと思います。観客の皆さんも彼に拍手を贈ってあげて下さい」と、亡きチームメイトを思いながら感極まり、観客から大きな拍手を受けた。


強豪ジャカレ(左)をパンチでぐらつかせるハーマンソン(右)

▼メインイベント ミドル級 5分5R
●ジャカレ・ソウザ(39=ブラジル/元Strikeforce世界ミドル級王者/同級4位)
判定0-3 ※46-49、47-48、47-48
○ジャック・ハーマンソン(30=スウェーデン/同級10位)

大きくジャンプして奇襲攻撃を仕掛けるハーマンソン(左)

 メインイベントはミドル級のランカー対決。4位の強豪ジャカレに10位のハーマンソンが挑んだ。

 ジャカレは昨年11月の再起戦で、元UFC世界ミドル級王者クリス・ワイドマンからKO勝ち。UFC戦績を9勝3敗とし、今大会では悲願のタイトルマッチを見据えて快勝を目指す。

 対するハーマンソンは6勝2敗のUFC戦績を収め、現在3連勝中と好調。今大会にはヨエル・ロメルの代役として、約1カ月前に急遽参戦が決まったが、強敵ジャカレを下して一気にトップ戦線進出を狙う。

 1R、前後にステップを踏むハーマンソンに対し、ジリジリとにじり寄るジャカレ。ハーマンソンは蹴りを散らしたり、ワンツーを打ち込んだり、常に動きながら手数を重ねていく。中盤になるとジャカレも左右フックで仕掛けるが、ハーマンソンにショートパンチの連打を浴びせられ、両手がマットに着いてしまう。すかさずギロチンチョークで引き込むハーマンソン。ジャカレは体を捻ってなんとか脱出した。

 2R、ハーマンソンは左ジャブを起点にしながら、右のパンチと左右の蹴りも丁寧に当てる。ジャカレも強烈な右ローを返すが、そのままキャッチされてテイクダウンを許してしまう。ハーマンソンは上をキープしつつ様々な角度からパンチをコツコツと落とし続け、ジャカレに寝技を仕掛ける隙を与えない。

 3R、ここまで劣勢だったジャカレが反撃を開始。たびたびタックルやクリンチにくるハーマンソンに対し、ジャカレが飛びヒザ蹴りや離れ際の右フックをヒットさせる。ハーマンソンは疲れの色も見え始め、ジャカレのパンチをかわし切ることができない。ジャカレが強烈な左ボディと右フックを叩き込むと、ハーマンソンはよろめいてケージを背負う場面も。

 4R、攻勢を維持したいジャカレであったが、序盤の打撃戦でハーマンソンの右アッパーをもろに喰らい、パンチの猛攻にさらされてしまう。息を吹き返したハーマンソンは左ジャブを巧く突きながら、前蹴りや組んでのヒザ蹴りもヒットさせ、ジャカレを削っていく。

 5R、ハーマンソンは開始直後にパンチ連打から組みつき、テイクダウンに成功。すぐに立ち上がったジャカレも投げを打ち返して意地を見せる。しかし再び打撃戦に戻ると、ハーマンソンがコンビネーションで先手を取り続ける展開が続く。残り1分半を切ったところでジャカレはハードパンチの猛攻を仕掛けるが、ハーマンソンは懸命にガードを固めて耐え、終了間際にはタックルでだめ押しのテイクダウンを決めた。

 ハーマンソンが強豪ジャカレから値千金の判定勝ちを収め、4連勝をマーク。「疲れたけれど、とても嬉しいよ。世界中のMMAファンに力を示すことができた。自分はタイトルコンテンダーの一人になれると思う」と笑顔を見せ、「10月にコペンハーゲンで大会があると聞いた。自分も参戦したい。タイトルマッチに近づけるよう、トップクラスの相手と戦わせて欲しい」と意気込んだ。

▶︎次ページ:アメフト界の元スター選手がUFC初勝利

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