【新空手】アマチュア大会『JAPAN CUP』2年ぶり開催、那須川弟・龍心がRISE賞に輝く
全日本新空手道連盟
『アマチュア打撃格闘技-JAPAN CUP2021 -New light of a new era-』
2021年3月20日(土・祝)東京・新宿FACE
新型コロナウイルスの感染拡大で、昨年は開催中止を余儀なくされた全日本新空手道連盟が運営する『JAPAN CUP』が、3月20日、新宿FACEで2年ぶりに開催された。
観客席は控室として開放されたが、密を防ぐため、小学生までのカテゴリーを中心とする第1部と中学生以上で構成された2部に分けて行なわれた。
大会前から最激戦区といわれた-60kg級は想像を遥かに凌ぐ大混戦に。一回戦の出来を見る限り力みのない美しいフォームから適正打を繰り出す岩田陽勇(全真会館)が勝ち上がるかと思われたが、その岩田も2回戦で岩田の闘い方を研究していたと思われる関口功誠(ドージョー☆シャカリキ)に敗れてしまう。
関口は準決勝で藤井海人(EXARES)を相手に劣勢を強いられる中、起死回生の前蹴りで試合の流れをひっくり返すダウンを奪い決勝に進出するも、藤井戦で眼窩底骨折の疑いがあるケガを負い病院へ。結局大会ルールに則り準決勝で関口と対戦した藤井が決勝に進出。前半ブロックから上がってきた山口叶和(チームドラゴン)と対戦した。
ここで一度は消えたはずの藤井がハッスル。先手必勝とばかりに序盤から積極的に攻め込む。2R以降、山口も必死に反撃したが、審判は藤井の積極性を支持した。
-60kg同様、熱い視線を注がれていた-55kg級では大久保琉唯(K-1GYM WOLF)が初優勝を果たした。タイ人トレーナー仕込みと思われるカウンターのヒザ蹴りを武器に、準決勝では新空手推薦の酒寄珠璃(ドージョー☆シャカリキ)を撃破。その勢いで決勝では強いプレスとワンツーを武器に勝ち上がっていた松本天志(HAWK GYM)を2Rに打ち合いからの右ストレートでダウンを奪った末に下した。
直前になって欠場が決まった新空手推薦の山内歩希(及川道場)が出場していれば、さらに混戦となっていたのではないか。
-65kg級は前蹴りを武器に勝ち上がってきた吉岡龍輝(及川道場)が今大会で台風の目になったHARK GYM勢のひとり田中佑樹を相手に「打たせない」「相手の距離にいない」殺法を駆使して2-1で下した。吉岡は白帯ながら、今大会では黒帯など自分よりカテゴリーの高い帯の選手を次々と撃破したうえでの優勝だ。“最強の白帯”を襲名か。
-70kg級は後半ブロックにエントリーしていた選手が欠場したため、前半ブロック準決勝で組まれていた矢尾勇樹(EXARES)と俵屋翔太(無所属)が決勝戦となったが、試合開始早々矢尾が放った右フックによって俵屋は前のめりに頭から倒れ込んだ。主審は即座に試合を止めた。実力差がありすぎたか。
JAPAN CUP中学生の部では-50kg級を制した那須川龍心(TEAM TEPPEN)の成長ぶりが光った。
セコンドに就いた兄・那須川天心の指示を背に、兄のように時折相手と身体を入れ換えながら試合を優位に進めていく。フィジカル面でも強くなったようで、対戦相手に当たり負けするような場面は皆無だった。
女子部では-55kg級を制しRISEでプロデビューする権利を得た辻井和奏(Bring it on)の活躍が目を引いた。
恵まれた長身を活かして準決勝では比企那菜実(BELLWOOD GYM)をコーナーに詰めてのヒザ蹴りでダウンを奪った末に1本勝ち。櫻井美姫(建武館)との決勝でも間合いを詰めてのヒザ蹴りが冴えて判定勝ち。将来が楽しみな逸材だ。
「これが小学生か?」
関係者からそんな声が漏れるほど、第1部も盛り上がった。中でも新空手ジュニアトーナメント中学生部+55kg級決勝では、ともに安廣道場所属となる宰川桂人と澤田翔による同門対決が実現。想像以上の激しい闘いとなったが、かつての極真を彷彿させるワンツーとローで前に出た澤田が宰川を下して優勝。その直後に男泣きしていたのが印象的だった。
このふたりのほかにも、第1部では安廣道場勢の活躍が目立っていた。小学1・2年生の部では決勝で体格差のある藤田莉王(LA GYM JAPAN)から延長戦で技ありを奪ったうえで優勝した田上聖夏の活躍が出色だった。いずれにせよ、小学生の部はいずれもハイレベルな攻防ばかり。数年先が楽しみな逸材が揃っていた。
なお新空手の次回大会は5月16日に墨田区総合体育館で行なわれる『新空手ジュニア交流大会』。5月30日にはゴールドジムサウス東京ANNEXで『Stand upアマチュアin TOKYO vol.4』が行なわれる。
(記事:布施鋼治)
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