【極真護身空手】修斗でも活躍の木下毅顕が優勝、強豪ムエタイ王者に金的蹴りで技有り!=痛く無いグローブ&金的カップで熱戦
11月20日(土)品川区総合体育館にて『第2回プレ全日本 極真護身空手道選手権大会 テストトーナメント』 (主催:極真力謝会)が行われた。この大会は来年開かれる全日本のテストトーナメント2回目。痛くないグローブ”ドラグローブ”と3重構造の痛くない金的カップを装着し、顔面突き、金的あり、投げが認められるポイント&KO制の大会だ。
【動画】この試合の準決勝、決勝戦のノーカット映像と決まった瞬間のスロー映像
多くの流派、格闘技競技の選手がエントリー。極真を始めとするフルコンタクト空手、伝統派空手、日本拳法、キックボクシング、ムエタイ、MMAなどから36名が参戦し体重無差別で行われた。
試合では還暦間近の空手家が金的蹴りで勝利するなど、不利と思われた選手が強豪選手に勝つ例も多々見られた。他競技で強くても金的がガラ空きなら勝つことはできないが、強豪が金的対策をすれば簡単に負けることはないだろう。
また、ルールの珍しい部分では、グローブ落としも武器落としの観点として見られポイントになることだ。受けで叩きつけられグローブが外れ、ポイント差で負ける選手も数名見られた。ドラグローブをはめると中に握り棒がついており、握りが甘いとグローブが外れやすくなる。
得点はパンチ、蹴り(投げてからの打撃も含む)は1ポイント、金的やグローブ落としは2ポイント。一瞬のダウンは2ポイントで技あり、3秒以上の4ポイントで一本。ポイントでも4ポイントで一本となればその時点で試合は決する。
このルールで台風の目となったのはムエタイのIMC(国際ムエタイ評議会)インターコンチネンタル・スーパーウェルター級王者プライチュンポン・ソーシーソムポン(GTジム)だった。
彼は今年3月のK-1で野杁正明に判定負けを喫しているが、19年11月の初来日時にはKNOCK OUTで元ラジャダムナン王者T-98に判定勝利している。
プライチュンポンは金的と顔面ヒットでポイントを稼いで勝ち上がり、接近戦になると首相撲からのこかしなど駆使し、ほぼ相手に触れさせず決勝まで勝ち上がってきた。
反対のブロックからは空手の木下毅顕(武心塾)が決勝に。木下は極真2段でWKF極真世界大会では軽重量級準優勝、昨年プロ修斗でデビューし今年に入り3戦(2KO)1敗。昨年5月には現・世界ライト級王者の西川大和と対戦し判定負けも、フィニッシャー西川のプロMMA戦績では唯一の判定決着となっている。
木下は初戦はグローブ落とし2回で勝利すると、2回戦はグローブ落としと顔面パンチ、準々決勝は金的で合わせ一本、準決勝は延長1回で顔面パンチでポイントを取り勝ち上がってきた。
決勝では木下が後ろ回し蹴りを放てばプライチュンポンはハイキックで返すなどスリリングな展開。
場外から試合再開直後、木下のインローキックに見せかけた金的蹴りがヒットし技あり! 木下は送り足で前に出ながらのインローキックと金的を使い分けるため読みにくい。プライチュンポンはオーバーハンドパンチそして、ハイキックでKOを狙うが木下はスウェーバックでかわすなど巧みなディフェンスで当てさせない。
最後はプライチュンポンは飛び二段蹴りを金的目がけて放つも当たらず、ここで時間切れ。技ありの2ポイントある木下が優勝した。
優勝した木下はこの試合ルールに向け金的など2週間前から練習をしてきたと言い、「いきなりスタイルは変えられないので自分の持ってる武器と混ぜれそうなところは混ぜた。金的攻撃は試合の途中から当たるようになり感覚を掴んだ。次戦は1月くらいに修斗の予定。必ず勝てるようにしたい」と答えた。
優勝した木下には優勝奨学金10万円、準優勝6万、3位4万円(それぞれ所属ジムと折半)だったが、来年の全日本は総額100万円となる。
主催の極真力謝会の浜井識安会長は極真の前身だった大山道場時代の顔面、金的ありルールで、現代に求められる、より安全な競技を目指す。
極真の創始者、大山倍達総裁は1969年に第一回全日本大会を開催したが、それまで数年、ルールなどの試行錯誤で開催が先延ばしに。素手での顔面、金的ありルールも考えたが、警察に相談したところストップがかかったという逸話もある。最終的に顔面打撃を意識した上で、手による顔面打撃と金的禁止の極真(フルコンタクト)ルールが完成した。
浜井代表は元々大山総裁が本来やりたかった、その空手ルールを安全に実現していきたいと語った。
▶︎【動画】この試合の準決勝、決勝戦のノーカット映像と決まった瞬間のスロー映像
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