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【フリースタイル空手】サバキ元世界王者が魅せた!MMA、極真も他階級を制す

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2012/10/28(日)UP

“サバキ”を鮮やかに決めて対戦相手を崩して転倒させた水木(左)

IBMA(国際武道人育英会)
「FREESTYLE KARATE CHAMPIONSHIPS,TOKYO OPEN」
2012年10月28日(日)東京・代々木オリンピック記念青少年スポーツセンター

柔道のような道衣をつかんでの投げ、レスリングの首投げなど全ての投げ技が使える

 極真空手で第22回全日本大会優勝・第5回全世界大会準優勝など、数々の実績を残した増田章(現・極真空手増田道場)が空手のさらなる可能性を求めて考案した、新しいルールの空手大会が開催された。

 フリースタイルカラテとは、従来の突き・蹴りに加えてつかみ、引っ掛け、首相撲、投げなどの組み技が認められ、有効 な技が決まればポイントが与えられるというルール。相手の道衣をつかんでの打撃や、蹴り技をキャッチして転倒させるなど多くの技が使えることからフリース タイル(自由な形)と命名された。

 

相手を抱え上げて投げ倒すのもOK

 昨年11月27日に友好団体・道場の選手を中心としたプレ大会が開催され、今回は「チャンピオンシップ」と銘打って広く出場選手を募ったところ、空手以 外にもシュートボクシング、キックボクシング、掣圏新陰流、パンクラスの選手たちもエントリー。

 さながら異種格闘技戦のような試合が繰り広げられた。さら にはイタリアとフランスからも選手が出場するという国際大会の一面も。

頭部への蹴りが綺麗に決まった場合は、テクニカルハイキックポイントとして1点

 今大会では軽量級・中量級・無差別級のチャンピオンシップと、シニアの軽量級・重量級、そしてエキシビションとしてU-23のトーナメントが行われた。

 豪快な投げ、空手本来の蹴りの大技などが繰り出され、選手たちは文字通りフリースタイルの戦いを展開。その中でも特 に目立っていたのが、無差別級に出場した水木重静(みずき・じゅうせい/円心会館静岡支部)だった。円心会館の特色である“サバキ”という崩し技を多用 し、全試合圧倒的なポイント差をつけて優勝。サバキのテクニックを存分に見せ付けた。

水木が多用したのは、相手の頭部に片手を引っ掛け、もう片方の手で相手の袖を引きながら相手を回し、自分の方へ引き付けてから大外刈りで投げる技。サバキを代表する回し崩しという技だ

 水木は身長183cm、体重93kgの重量級で円心会館三段の37歳。パンフレットのプロフィールには2001年極真連合会全日本大会準優勝とだけ記載 されていたが、実は2005年と2007年の『サバキチャレンジ世界大会』ヘビー級で優勝している強豪。5年前に現役選手としては引退していたが、「増田 師範から円心会館に出場オファーがあったんですが、11月に世界大会があるため選手が誰も出られないということで、私がやってみようと5年ぶりに試合に出 ることにしました」という。

「支部長の矢島弘昌先生から“普段からいつでも試合が出来るようにしておけ”と言われていましたので、5年ぶりの試合でも大丈夫でした。円心会館の素晴らしい空手、二宮城光師範が作られたサバキの素晴らしい技術を伝えたいと思って出場しました」と水木。

右が増田章代表、左が水木

  増田章代表は「フリースタイルが長い年月を経て、ようやくフリースタイルらしきものになったと思います。次回も開催する機会があれば、他の格闘技の仲間た ちとも交流し、素晴らしい技を創造していきたいです。瞬間的なつかみの有効性を始めとして、空手の可能性を実戦で勉強して追求していきたい」と大会を総評 し、「サバキの技術は素晴らしかったと思います。二宮先生とは今後ぜひ交流していきたいですね」と語った。


水木(左)は回し崩しで178cm・118kgの齋藤を鮮やかに投げた

▼チャンピオンシップ一般無差別級決勝戦
○水木重静(円心会館静岡支部/2001年極真連合会全日本大会準優勝)
延長1回 ポイント8-3
●齋藤祐郁(さいとう・ゆうや/如水会館千葉支部/2011年フリースタイルオープン空手オープン一般重量級優勝)

ポイント8-3で水木が勝利

 1回戦は2002年IBMA全日本大会重量級3位・南屋敷祥穂(IBMA極真会館本部)にポイント9-1、準決勝では優勝候補の2006&2007IBMA全日本大会無差別級優勝・秋吉栄史朗(同)に合わせ一本(ポイント12-0)で勝利した水木が決勝戦へ進出。

 対するは昨年のフリースタイル空手大会重量級で優勝している齋藤となった。

 齋藤は道衣をつかんで相手の動きを封じての下段廻し蹴りを多用して優勢に立つが、投げにいったところで水木がサバキ(大外刈りのように投げる)で有効(3点)を獲得。鮮やかな投げ技に場内からは歓声が沸き起こる。

水木が蹴りを繰り出す

 さらに水木が顔面への前蹴りでテクニカルハイキックポイント1点を追加するが、齋藤はその蹴り足を受け止めて水木を倒し、有効3点を奪い返して4-3と迫る。

 本戦は引き分け(5点差がなければ延長戦)となり、延長戦に突入。ここで水木が再び大外刈りのようなサバキで有効を奪い、その後も相手の両脇をすくって横に倒す投げ技で効果(1点)を追加。

 8-3(延長戦は3点差で決着)の5点差で水木が優勝した。


菅原は(左)タックルを連発して次々とポイントを重ねていった

▼チャンピオンシップ一般中量級決勝戦
○菅原和政(マスタージャパン/2011年第1回全日本パンクラスゲートオープントーナメントライト級優勝)
延長2回 ポイント7-2
●ノルディーヌ・ヌトンカン(IFKフランス)

飛び蹴りを繰り出す菅原

 アマチュアパンクラスの全日本王者・菅原はタックルを多用してポイントを稼ぐほか、ハイキックや後ろ廻し蹴りなどの蹴り技も多彩。

 1回戦でフリースタイル空手オープン2011 U-15クラス優勝の青木律(如水会館千葉支部)を始め、空手家たちを破って決勝へ進出した。

 決勝戦では柔道の投げ技と強い打撃で勝ち上がってきたフランスのヌトンカンと対戦。

菅原がハイキックをヒットさせる

 決勝までの2試合を本戦決着で勝ち上がってきた菅原に対し、ヌトンカンは2試合とも最終延長までフルに戦っていて体力の消耗が激しそう。

 試合は延長戦でヌトンカンが後ろ廻し蹴りでテクニカルハイキックポイントを奪うと、すぐに菅原が左ハイキックで同じポイントを奪うという好勝負となったが、最終延長戦で菅原がタックルでヌトンカンを倒して効果を重ね、5ポイント差で優勝を収めた。


齋藤(右)は打撃と投げ技両方でポイントを獲得しての合わせ一本勝ちで優勝

▼チャンピオンシップ一般軽量級決勝戦
○齋藤 拓(如水会館千葉支部)
合わせ一本 ※10ポイント差
●木村旬志(IBMA極真会館岡山支部/フリースタイル空手オープン2011 U-15準優勝)

佐藤は投げも使用しポイントを重ねる

 昨年も大活躍した、如水会館千葉支部の齋藤兄弟の五男・拓が1回戦はポイント7-0、準決勝は不戦勝で決勝戦に進出。1回戦、準決勝ともに最終延長まで戦ってきた木村と対戦した。

 スピードのある蹴り技を多用する齋藤だが、組み付くとすぐに木村を投げ、木村の蹴り足をキャッチしては投げと次々にポイントを重ね、最後は下段廻し蹴りで技あり(5点)を奪って合わせ一本勝ち(10点先取で合わせ一本となる)で優勝を飾った。


崩し技で相手を倒し、残身(ざんしん=すぐに次の攻撃を加えられる体勢をとること)をとるノースコット

▼シニア重量級
○リチャード・ノースコット(IBMA極真会館/2009年IBMA全日本大会フリースタイルクラス準優勝)
延長2回 ポイント5-4
●宮村真幸(IBMA極真会館本部)

ノースコットが膝を叩きこむ

 身長174cm、体重103kgの体格を誇るノースコットが、準決勝(1回戦はシード)で身長183cm、体重80kgのヴァンサン・シモン(IFKフランス)を破り、決勝へ進出。

 決勝では組んでのヒザ蹴りを多用し、宮村の蹴り足をキャッチして足払いで倒して有効を奪い、さらに浴びせ倒すような投げ技で効果を奪う。延長戦では宮村に有効を奪い返され、再延長戦では顔面殴打で減点1も取られたが、ポイント5-4の1点差でノースコットが逃げ切った。


両者とも延長戦の連続で疲労していたが、クリストフ(右)が神戸(左)を打撃で場外へ押し出してポイントを重ねた

▼シニア軽量級
○クリストフ・ルフェーブル(IFKフランス)
延長1回 ポイント6-0
●神戸英二郎(無所属)

クリストフがボディを打ち込む

 13人という大会最多出場となったトーナメント。決勝戦は準決勝でスーパータイガージム田中塾の中島久仁夫を最終延長で退けた神戸と、フランスのクリストフの戦いとなった。両者とも3試合を戦っており、疲労の色は隠せない。

 決勝まで投げ技を駆使して戦っていた神戸だが、クリストフに投げ技で効果、打撃による場外押し出し2回で計3点を奪われ、延長戦ではさらに押し出し3回を奪われて、ポイント6-0でクリストフの優勝となった。

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