【ボクシング】4階級制覇の井岡一翔、激闘を振り返り「窮地の中でも楽しめた」
6月19日(水)千葉・幕張メッセ イベントホールで行われた『WBO世界スーパーフライ級王座決定戦』において、同級1位アストン・パリクテ(28=フィリピン)を10R1分46秒 TKO(テクニカルノックアウト=レフェリーストップ)で破り、日本人男子初の4階級制覇を達成した井岡一翔(30=Reason大貴)が20日、東京・五反田のワタナベジムで記者会見に臨んだ。
ほんのり赤みを帯び膨らむ右拳を先ほどまでアイシングしていたというが、顔面その他に目立った“激闘の証”はない。「無事にベルトを獲れて4階級(制覇)を達成できたことに、今はホッとしている」と穏やかな表情で会見をスタートさせた井岡。昨晩の戦いを一言で振り返るならとの質問には「窮地の中でも楽しめた」と表現した。
戦前のプランは「相手は前に来させるとどんどん自分のやりたいことをやってくる。だから左のリードジャブやパンチを使って組み立て、プレッシャーをかけて下がらせることで、相手にやりたいことをやらせない」というのもの。また、常に相手と正対しない位置に立ち、クリーンヒットを回避することも意識していたという。
すでに試合動画をチェックし、おおむねプラン通りと確認した井岡が、「窮地」であり「正念場」ととらえたのが、7Rにパリクテが仕掛けたラッシュ。
「正直、相手がそこまで勝負をかけてきているとはわからなかった。ひとつのコンビネーションで終わると思ったが、相手はそれ以上に打ち込んできた。会場の空気も変わったし、向き合った時の(パリクテの)雰囲気も変わって、これはちょっとヤバいと」
ディフェンスだけでしのぐのか、思い切り打ち合って打ち勝つのか。2つの選択肢を突き付けられたが、「ここで打ち勝たないと後半ペースを取られそうだったので、自分も勝負をかけるつもりで打ち合いました」と、まさに窮地そのものの場面でのリアルな心境を振り返った。
入籍を控えた元モデル女性(31)との間には今夏、第1子も誕生予定。「シンプルに男として家庭を守るのは当然のことだし、僕はこれが職業。この試合を落としたらいつ仕事が入って来るかわからない」と、家族の存在がモチベーションになっているとも語った。
「この試合に勝つことしか考えなかったが、ベルトを獲れたことで視野が広がり選択肢も増えた」と今後の展望を見据える井岡は、復帰後の志そのままに「ベルトを携え海外で強い相手と戦う」ことを望み、WBC同級王者のファン・エストラーダ(メキシコ)や、WBA王者・カリド・ヤファイ(英国)の名も口にした。
「自分の中では世界初挑戦(2011年2月のWBC世界ミニマム級タイトルマッチ)と同じか、それ以上に張りつめていた」という覚悟の一戦を最高の形で終えた井岡は、しばしの休息のあと再び歩み始める。
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