元UFCのフィリップ・ノヴァーが医療崩壊寸前のニューヨーク市ICUで勤務、現場の苛烈さ語る
世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。とくにアメリカでは、3月下旬にかけ感染者数が増大した。その中でもニューヨーク市では、3月30日時点で38,000件を超える感染者が報告され、900人を超える死者が出ている。これは全米の新型コロナ感染者の死者数の約4分の1にあたる。
そんなウイルス最激烈区域の病院の集中治療室(ICU)で、一人の元UFCファイターが看護師として奮闘している。看護師の名前は、フィリップ・ノヴァー。
ノヴァーは柔術黒帯の元UFCファイターで、アメリカ東海岸の総合格闘技団体『ROC』の元ライト級王者。チョークを得意とし、ベラトールでも活躍した。
現在ニューヨーク市の病院に勤務するノヴァーは、現場の苛烈さやUFC、格闘家たちへの警告をアメリカの格闘技ニュースサイト『MMA Fighting』に語っている。
「数日から数週間の間に、事態は一気に変わってしまった」と言うノヴァー。「このパンデミックは急速に広がったが、実際に検査を受けられたのは市内でたった一つの病院だけだったんだ」と言う。ノヴァーによると最大の問題は検査の不足であり、現場の感覚では発表されている感染者数よりももっと多いとのこと。
さらに「新型コロナウイルスに関して、恐ろしいものを見てきた。目の前で息を切らしている患者たち」と語るノヴァー。「先週、心臓発作を起こした患者がいたのだが、ICUのベッドは新型コロナウイルスの患者でいっぱいだった。結局、彼らの隣に寝かせるしかなかった。そうやって山火事のように感染が広がっているんだ」と明かす。
怖かったが、患者が自分を頼りにしていることを知っているノヴァーは、恐怖心を飲み込んで毎日現場へ向かっている。自分を守るために防護マスクとその上にもう一つのマスク、2組の手袋、靴のカバー、滅菌ガウン、ヘッドピースとアイシールドを着用しながら。
普段は地元のジムで柔術のトレーニングに励んでいるノヴァー。「元MMAファイターで柔術家の私は、トレーニングしたいと思っている。けれどリスクを冒すことは出来ない」と言う。「私はおそらく陽性だ。症状が出ていないかもしれないけれど」とも。
UFC代表のダナ・ホワイトは4月18日の『UFC249』をはじめ、開催を続けると発表している。そして『UFC249』出場予定のファイターたちの多くが、試合に向けて意欲的だ。
「多くの友人たちが、まだトレーニングに励んでいる。私も、UFCに入ったばかりの時ならトレーニングをしていただろう。しかしMMAと柔術は、最悪の事態を起こしうる。互いの汗にまみれているのだから。このウイルスはとても簡単に伝染するんだ」と警告する。ただし、ダナ・ホワイトが『UFC250』に関わる人間全員の検査を行い、全て陰性であれば大会を開催が可能かもしれないとも語る。
ノヴァーは「MMAの世界は、自分たちが死ぬことはないだろうと思っている若者が多い。けれど本当のリスクは、彼らが感染し、若いアスリートではない人々にそれを広めてしまうことだ」と自分自身が感染することよりも、伝染させてしまうことを恐れるべきだと言う。「私はもう両親を訪問しないことにしたし、”家にいてくれ”と言った。あまりにも恐ろしいものを見てきたから。私の前で死んでゆく患者たち。もう見たくない」と言う。
ノヴァーは、このパンデミックに終止符を打つものが一つだけあると言う。「それは検査だ。現時点では、症状が出ていてもなんとかなりそうな人には『あなたは陽性だと思うけれど、あなたの検査に時間や資源を使いたくないので、家に帰ってください』と言うしかない。それが今の状況だ。何十万という検査をしない限り、ウイルスは拡散し続ける」と悔しげに語る。
陽性と分かれば、行動を自粛し注意する。検査せず、自分だけは感染していないと思えばどこへでも行き行動してしまう。拡散防止のため、そんな人たちに彼はニューヨークから強い警鐘を鳴らした。
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