【空手】全空連と極真会館が五輪目指し歴史的握手
4月16日(木)東京・辰巳にある全日本空手道連盟(以下全空連)の総本山である日本空手道会館にて寸止めルールの全空連とフルコンタクトルール(直接打撃制)の極真会館(松井章圭館長)が友好団体結成の記者会見を行った。
これまで交流がなかった両団体は空手界の地位向上のために協力していこうと握手。全空連のルールは一つ(WKF・世界空手連盟の定めた強打禁止のセミコンタクトによるポイント制ルール)のスローガンのもと空手のオリンピック採用に向けて活動していく。
今後、極真側が希望すれば全空連から指導者を派遣。極真会館からポイント制ルールの大会に出たい選手がいれば総本部でのみ選手の育成を行う予定。極真会館ではポイント制ルールで勝てる環境を整えていく。
しかしこれは日本国内のみの締結ということであるようで、笹川堯会長は「各国のことは各国の連盟に任せる」とした。
松井館長は「極真が全空連の傘下に入ることかと受け取られる人は多いと思いますが、今回はあくまでも両連盟が両立した友好団体化するということです。どちらがどちらの傘下に入ったという話ではありません」と説明した。友好団体とはお互いの内政や運営には携わらない関係であり、交流などの友好関係と空手のオリンピック化を支持するというもので極真会館はこれまで通りに活動していく。
■これまでの極真会館と全空連の確執
そもそも極真会館のなりたちは極真の創始者・大山倍達(94年他界)がセミコンタクトによるポイント制ルールに異を唱え、強く当てる空手を追求。1964年からムエタイやキックボクシングに参戦していたが防具なしの直接打撃制のルール(手による顔面攻撃は禁止、蹴りでの顔面攻撃は可能)を開発。1969年第1回全日本空手道選手権大会を開催。いわゆるこれが直接打撃制(フルコンタクト空手ルール)の誕生となった。
これまで大山氏には全空連より少なくとも2度接触し(1969年前後と1981年)全空連の協力団体に加盟し全空連ルールでの大会出場を要請してきたが、極真の大山氏は直接打撃ルールにこだわり、また全空連もポイント制ルールは譲れず平行線に終わっていた。
大山倍達館長他界後、極真は数派に分裂。その極真の中でも代表的な松井館長側の極真会館が対立していた全空連と今回、友好関係を締結し和解した。
■フルコンタクト空手界のオリンピック活動
過去、大山倍達もオリンピック採用へ活動していた。真剣勝負にこだわり体重制限を設けず大会を行っていたが、極真空手のオリンピック化を目指し1984年に3階級を設けた全日本ウエイト制大会を開催。当時のIOC会長のサマランチ氏と会談し、交渉を続け1987年の第4回世界大会のパンフレットの祝辞にはサマランチ氏の祝辞も掲載され海外から国際オリンピック委員2名が来場したが、IOC側の条件としてより安全なダメージの少ないセミコンタクトのポイント制ルールを求めてきたことから直接打撃にこだわる大山氏とIOC側は決裂した。
松井館長は本日の記者会見で「先代(大山館長)は既にオリンピック化を断念をして線引きをしています。私たちはフルコンタクトをオリンピック以上の権威を作り上げる意識は変わらない。しかし分裂があったり確執があったりなどは決して良いことではない。だから空手界の大同団結を図りお互い尊重した形で社会的地位向上を目指す。ルールにとらわれることなく小異を捨てて大同につく、オリンピックと言う意味においては(ルールにとらわれず)舞台に上げることが先決である」とした。
松井館長の極真会館の動きとは別に大山倍達氏が行って来たフルコンタクトのオリンピック活動を引き継ごうと新極真、芦原会館、社団法人極真会館などを中心に261団体が加盟し、フルコンタクト空手のオリンピック化を目指す「全日本フルコンタクト空手道連盟」(以下JFKO・会長 中谷元、代表緑健児)が2013年に立ち上がった。JFKOは世界に広がったフルコンタクトルールのオリンピック入りを目指し、空手に2つのルールがあることをオリンピック組織委員会に理解を求めている。
国際オリンピック委員会(以下IOC)は1競技1団体(世界を統一している団体)任命しその団体のルールで競技をすることになっている。現在IOCは世界空手連盟(以下WKF)を任命している。WKFはセミコンタクトのポイント制ルールを採用しており、その傘下に全空連がある。今のところオリンピックに空手が採用されればポイント制ルールということになる。
松井章圭館長はJFKOには加盟せず数年前より「フルコンタクトでも伝統派(ポイント制)でもオリンピックに採用になったルールに選手を出していきたい」との立場を表明してきたが今回は全空連側に大きく一歩踏み込んだ形となった。
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