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元十両・貴ノ富士「年末のRIZINに出たい」格闘技に転向した力士出身者らの弱点とは

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2020/07/08(水)UP

大相撲から総合格闘技『RIZIN』に出た選手では元十両のバルトが3勝1敗と大健闘

 昨年9月に付け人への2度目の暴力行為が発覚し、10月に引退した大相撲の貴ノ富士こと上山剛(23)が7日、格闘家転向を表明した。報道では都内のジムでトレーニング、打撃や寝技も習っているという。正式な所属ジムは現在探しているとのことだ。

 8日朝にはフジテレビの「めざましテレビ」でインタビューが公開された。2度の暴力行為に応援してもらった後援者やファンに謝罪をした上で「新たにできるところまで挑戦したいという気持ちが芽生え、格闘家になろうと昨年12月に決めました。格闘技ファンの方々の心の底から応援してもらえる選手になりたいです。日本人で初の世界ヘビー級のベルトを巻くことを目標、年末のRIZINに出させてもらえたらと思っています」と語った。

 格闘家になろうと決めてから力士時代163kgあった体重から約50kgの減量に成功。「(減量して)だいぶ動けるようになってからパンチや蹴りの仕方を勉強したり自分で考えながらやっている」とした。
 身長は190cmの大型選手。練習熱心との評価の高かった力士であったため、その熱量を格闘技に向けたら大きく伸びる可能性もある。日本人初の世界のベルトとはUFCのことのようだが、RIZINでもベルトにも手が届くか。なお、RIZINでは、ヘビー級のタイトルは今のところ設けられておらず、その下のライトヘビー級(-93.0kg)なら存在する。王者はイリー・プロハースカ(チェコ)だったが、UFCに移籍のため今年1月に王座を返上、現在空位となっている。

バルトが柔道技でピーター・アーツを投げる。バルトが判定勝ち

 これまでの大相撲出身の選手を見ていると体重が重すぎる選手が多かったためか俊敏さに欠けパンチのキレは劣る。そのため、スキが多くなる。グラウンド(寝技)になると体が大きすぎて動きづらい。そのデメリットを力士は体格任せにコーナーに押し切って判定で勝つということが多い。そこに頼ることも大きな弱点だろう。

 格闘技イベントの巌流島のように、打撃や寝技の他に場外に押し出せば勝ちポイントとなるルールだと、力士は有利だ。しかし、押し出しルールはその他のMMAでは採用されていない。そのため、打撃か寝技かで勝負をすることになる。

 格闘技に転向した力士ではPRIDE、RIZINやK-1などの大舞台でKO勝ちは元十両の戦闘竜1試合のみ。2004年のPRIDEでマル・”ザ・ツイン・タイガー”にKO勝ちしている。グラウンドでの一本勝ちはPRIDEでの北尾光司の1試合のみだ。

 しかし、中堅大会であるDEEPでは元関脇・若翔洋が2008年に無名選手にKO勝ち、元十両・日出ノ国(2勝2敗)は2004年にパンクラス、2005 年にDEEPでKO勝ちを飾っている。 前出の戦闘竜は高校時代までに培ったレスリングの経験もプラスし、HEATなどでも勝利し6勝(5KO)16敗の戦績を残した。相撲ルールでは体重の重い方が圧倒的に有利だが、MMAルールでは違ってくる。怪我に泣かされ大相撲を引退した戦闘竜も150kg近い体重から120kgまで絞り格闘技に参戦。貴ノ富士が総合格闘技に向け50kg減量したのは正解と思われる。寝技で動ける体も必要だ。彼の活躍に期待したい。

■RIZIN、PRIDE、K-1に出場した大相撲から転向した主な選手たち

【把瑠都(バルト/エストニア)】元大関、大きなMMAイベントでは最も活躍したと言える選手だろう。故障が響き28歳で大相撲を引退、31歳となった2015年大みそか、RIZINに上がり元K-1王者のピーター・アーツに対し、198cmの高身長と183kgの体重でアーツの打撃を跳ね返し、幼い頃から学んだ柔道技からグラウンドで潰して判定勝利した。翌年も、藤田和之、高阪剛と判定で勝利したが、16年大晦日、ミルコ・クロコップにボディへの膝蹴りでKO負けしている。以降、母国に帰り政治家に転身した。MMA戦績3勝1敗

【大砂嵐(エジプト)】
18年3月に無免許運転での事故が発覚し大相撲を十両で引退、同年に9月に26歳でRIZINでデビュー1Rに打撃で有利に運ぶも以降はスタミナ切れ、ボブ・サップに判定負けを喫した。以降、新たな無免許運転が発覚しRIZIN側は契約解除を発表した。MMA戦績0勝1敗

【曙】
横綱・曙は2001年1月に両膝の具合が思わしくなく31歳で引退、2003年大晦日にK-1にてボブ・サップと戦うもKO負け、RIZINでも2015年に再戦するも判定負け。MMAでは2004年のK-1でホイス・グレイシーと対決も関節技(リストロック)を決められタップアウト。体重の重さと、相撲でも戦えないくらいの膝の悪さもあり勝ちには恵まれなかった。キックボクシング戦績1勝9敗、MMA戦績は0勝4敗

【双羽黒(北尾光司)】
 双羽黒は横綱だったが、88年3月、24歳で部屋とのトラブルで大相撲引退、90年に北尾光司としてプロレスでデビュー、MMAでは96年4月に『ユニバーサル・バリトゥード・ファイティング』初参戦。テイクダウンから上になり、コツコツとペドロ・オタービオにパンチを入れ優勢かと思われたが、オタービオは逃れ北尾の背中に回り、北尾の頭部に肘を連打、TKOで北尾が破れている。翌月(5月)のUFCでは相手のパンチで鼻が骨折しドクターストップ負け、97年にPRIDE.1でネイサン・ジョーンズにV1アームロックで一本勝ちし、MMA初勝利を飾ったが以降、格闘技の試合には出ず、98年に引退を発表した。MMA戦績は1勝2敗

【元十両・戦闘竜】
怪我に泣かされ2003年に大相撲を引退、2004年4月にPRIDEで格闘技デビューしジャイアント・シルバに一本負け、10月にはマル・”ザ・ツイン・タイガー”にKO勝ちしており、大相撲選手がビッグイベントでKO勝ちした唯一の試合となっている。2013年に格闘技選手を引退。MMA戦績は6勝(5KO)16敗

【元関脇・若翔洋】
怪我で97年に引大相撲引退、2005年7月にHERO’Sでピーター・アーツにストレートでダウンを奪われ、パウンド連打でKO負け、以降、DEEPでMMAで1勝を上げた。MMA戦績は1勝5敗1分

【元十両・玉海力】
怪我で96年に引退、ちゃんこ屋を経営しながら2004年5月に格闘家としてPRIDEに参戦、小路晃にTKO負けを喫した。以降パンクラスに参戦するも勝ちに恵まれず、MMA戦績はo勝3敗

※その他、DEEP、パンクラス、イノキゲノムなど中堅大会に参戦した選手は元十両・日出ノ国(2勝2敗)、元前頭・大飛翔(1勝3敗)、元十両・星風(モンゴル/0勝1敗)などがいる。

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