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【月間ベストファイター・5月】与座優貴、ONEデビュー圧勝の裏に「空手技」“世界で戦う”新スタイルとは

 毎月イーファイトのサイト名にちなんでより良い試合をした選手に贈られる、格闘技月間ベストファイター賞。2025年5月のベストファイターは、5月23日(現地時間)タイ国バンコク ルンピニースタジアムにて開催された『ONE Friday Fights 109』の[バンタム級キックボクシング3分3R]にて、プロ12戦無敗&ONE6連勝中のエルブルース・オスマノフ(ロシア)に途切れぬ猛攻で、ONEデビュー戦完勝した与座優貴(team VASILEUS)に決定した。(2025年6月29日UP)

PROFILE
与座優貴(よざ・ゆうき)
team VASILEUS所属
1997年12月20日、茨城県土浦市出身
身長 170cm 
構え オーソドックス
入場曲 AK-69 / IRON HORSE -No Mark-

【獲得タイトル】
第6代K-1 WORLD GPライト級王者
極真会館2017年第6回世界ウエイト制 軽量級 優勝
極真会館2016年第33回全日本ウエイト制 軽量級 優勝

【戦績】
22戦20勝(9KO)2敗

 極真出身で、17年「第6回極真会館全世界ウエイト制空手道選手権大会」軽量級では最年少優勝(19歳)。19年にキック転向し、3月にプロデビュー。華麗な蹴り技でKOを連発し、キャリアをスタートした。
 21年12月、K-1グループに参戦すると、2戦目で当時のライト級王者・朝久泰央に判定勝利。23年3月の王座を懸けたリマッチでも判定勝利し、戴冠した。その後もRISEライト級王者の中村寛に負傷判定勝利、元K-1ライト級王者ゴンナパーにKO勝利、元ONEフライ級キックボクシング王者ペッダムにKO勝利と、国内外の王者クラスを撃破した。
 24年10月にK-1との契約が終了したことを発表。今年5月のONE初戦で、ONE6連勝のエルブルース・オスマノフを3R止まらぬ猛攻で圧倒し判定勝利、華々しいデビューを飾った。

選考理由
1.世界の強豪ひしめくONEのデビュー戦で勝利
2.評価の高い無敗ファイター・オスマノフに終始ペースを握る完勝
3.3R通し、ハイペースかつ殺傷力の高い攻撃と、最小限かつ正確なディフェンスの両立を見せる

選考委員
格闘技雑誌Fight&Lifeとイーファイトの全スタッフ

 受賞された与座選手には、ゴールドジムより以下の賞品(アルティメットフレキシジョイントUC–Ⅱ 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アミノ12パウダー 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。

アルティメットフレキシジョイントUC-Ⅱ®

非変性Ⅱ型コラーゲン(UC-Ⅱ®)に、MSMやユニベスティン、キャッツクローを配合したサプリメントです。
マルチビタミン&ミネラル

100%自然素材を使用したビタミン&ミネラルサプリメント。着色料、香料、保存料は一切使用しておりません。
アミノ12パウダー

BCAAなど体内で合成できない必須アミノ酸を8種類配合。身体作りに好適なアルギニン、オルニチン、グルタミン、グリシン配合。飲みやすいオレンジ風味。
詳細はこちら 詳細はこちら 詳細はこちら
贈呈:ゴールドジム

べストファイター記念インタビュー

 試合は、与座が序盤から早いテンポのステップで詰め、左右の強烈なカーフ。更には間を空けずに次々とロー、ミドル、後ろ蹴り、三日月蹴り、ハイキックと、息もつかせぬ猛攻で終始攻めていった。
 結果は3-0の完勝。与座は鮮烈なONEデビュー戦を飾った。

 しかし、与座は「キャリアの中で一番強い相手でした」と試合を振り返る。 圧勝のように見えたが、裏には激烈な駆け引きがあった。

■タフだったオスマノフ!だが空手時代に比べれば…

オスマノフは与座の蹴りにも3R耐え抜いた©️ONE

 相手のオスマノフは、試合前プロ12戦無敗&ONE6連勝中で、元ルンピニー王者ガオナーにも勝利している。勢い良いバックスピンキックやバックブローなど回転系の技を得意とし、ムキムキのフィジカルから強打を放つイケイケの選手だ。

 試合でオスマノフは、距離を取ろうと下がると、飛びヒザ、得意の後ろ蹴り、そして強烈なミドルから隙を見ては右を放つ。3Rには前に出て、パンチ連打からヒザで攻め入る場面も見せた。

 与座は「映像で見ると確かに、終始自分がコントロールできてる風には見えたんですけど、対峙していると全くそんなことなくて」と切り出す。

 まず「回復力がすごい。1Rの始めのほうの三日月蹴りで、相手の声が出るくらい効いてたんですけど。そこからの回復力が早くて、行くに行けない。本当にタフな相手」と、効かせてもすぐにリカバリーしてくるという。

 さらに「もう(相手の)体の骨が硬くて。インカーフを蹴られても、位置を微妙にずらしてきたりして、蹴りながら“痛えな”と思った」と明かす。

 与座は「相手も空手をやっていて。昔、空手で戦っていたロシア人のようだと、試合中に懐かしいと思った」と、極真で世界と戦っていた頃を思い出したとのこと。

 しかし「相手の攻撃力に対する耐久度も、想像は超えてきましたけど。人生イチ、ではないんで」と笑う。 では“人生イチ”とは。「(極真空手の)無差別じゃないですか。その耐久値も経験として生きた」と、オスマノフのタフさにも引くことはなかった。

■蹴り中心に攻めたのは…「パンチは危ない」

ハイキックで攻める©️ONE

 さらに、相手のパンチの脅威があった。1、2Rとほぼ蹴りで攻めた与座だったが「最初はいろんな攻撃を出そうと。パンチでも行こうと思っていました」とのこと。

 しかし「オスマノフ選手の、パンチの反応速度がめちゃくちゃ早くて。自分が少しフェイント、腕や肩、目線と仕掛けるたびに、半端じゃない速度で反応してくる。中途半端なパンチは本当に危ない。これで蹴りに切り替えました。セコンドとも話し、パンチはなるべく打たないで行こうと」と、蹴り攻めに切り替えたという。

 結局、オスマノフのパンチは3Rまで「威力もスピードも変わらず、最後の1秒まで危険だなというのがありました」と威力を保っていた。

 与座は「最近の自分の相手は、勝とうというより、倒されないように試合を過ごそうという感じ。勝負してくれない相手が多かった。でもオスマノフは、本当に真剣に勝ちに来たし、真剣に倒しに来た。フィジカルやパワーもあったけど、何よりも気持ちの面で今までの相手と違った」と振り返った。

■世界で勝つための”新スタイル”、空手の受け返しも活用

ミドルに即インローを合わせる©️ONE

 では今回の勝因は、どこにあったのか。

 与座は「今回はONE仕様で、ラウンドマスト(※ラウンドごとに優劣がつく)なので、1Rから3Rまでしっかり切り取るというイメージで作ってきました。より相手より蹴らないといけない。痛くても関係ない。もちろん手ごたえがあったから蹴り続けたのはありましたが」と、全てのラウンドを取るつもりで、蹴りをやめなかったとのこと。
「なので、いつもにも増してアグレッシブに攻められたと思う。新しい自分のスタイルで、武器。ONEでチャンピオンになるための、世界でやって勝てるスタイル」とアジャスト成功が勝利に繋がった。

 このよりアグレッシブな新スタイルにも、空手の経験が役に立った。

「スタミナ練習もそうだけど、これは本当に空手の受け返し。自分で始めて、自分で終わるという。練習でも受け返しを意識してやってきました」と幼少期から染み込んだ空手の稽古が、ONEでも繋がったようだ。
「とにかく早く返すことを意識した。狙ってる場合じゃない」というスピード命の受け返しだったが、日頃の渡辺雅和トレーナーとのミットで「ピンポイントで相手の急所を捉える」練習も出来ていたという。

 与座は「ONEの舞台というのは、レベルの高い”じゃんけん”」と形容する。「例えば若手の選手で、殴り合いが得意。グーが武器で、グーしか出来ない。パーを出されると完封されちゃう。でもONEのレベルになると、全員が高いレベルで全て出せる。だから、強さの要素のパラメータ円グラフがあったら、丸に近くなるようにするのは、凄く意識している。そこで、しっかり作ってきたものが出せた」と今回のオスマノフ戦での対応成功に自信を持つ。

「本当に色々遠回りしましたけど、それが逆に生きた。そういう試合でした」と満足気に笑う。

■”ロマチェンコ勝ち”目指す

顔を歪めるオスマノフ©️ONE

 試合の前に「心を折りたい」と語っていた与座。

 KOこそなかったもの、今回の一方的な猛攻は、与座の言葉と合わせて、ボクシングの”ロマチェンコ勝ち”を思い起させる。
 ”ロマチェンコ勝ち”とは、あまりの実力差に、相手陣営が試合途中で棄権するTKO勝利。世界3階級制覇ワシル・ロマチェンコの全盛期に何度も起こしていた。

 与座は「ロマチェンコは実は大好きで、彼の理詰めの戦いもめちゃくちゃ好きで、勉強して見ている。そういうのも自分のスタイルには入っている」とロマチェンコの戦いを取り入れてもいるという。

 しかし「理詰めじゃなく、逆に壊すというのも自分は出来るんで」と持ち味の”全身凶器”な圧倒的な破壊スタイルでも対応出来る。
 今回は「高いレベルで、相手によって引き出しを変えれるようにはなったのかな」とあらためて満足気だ。

 そして「それこそロマチェンコの、”もう降参”というか、ポイントでも勝てないし、効かないし、諦めるしかない、降参というのが一番完璧」と”相手の心を折る”勝ち方を目指すという。

■次戦ペッタノン「本当にIQは高い」が、KO勝利の予感

昨年、ペッタノンと(与座のXより)

 次戦は7月18日、タイ・バンコクのルンピニースタジアム『ONE Friday Fights 116』に出場し、前ONEバンタム級キックボクシング世界王者のペッタノン・ペットファーガス(39=タイ)と対戦することが決定した。

 与座は昨年のゴンナパー戦前の6月、タイ修行に行き、ペッタノンと数ラウンドのスパーリングを行っている。
 当時を振り返り、与座は「結構、衝撃を受けました」と語り「自分の攻撃やフェイントは、なかなか無い種類のものも多い。それらを初見で反応されて見切られたり、受けられたりしたので。本当にIQは高い」と、ペッタノンの上手さに驚いた。

「だからオスマノフは強かったけど、次は上手いタイプ。でもこれを勝って11月の日本大会に出ないと。でも、次は倒せるんじゃないか」とKO勝利の予感もあるという。

 スパーリングをした時には「向こうも自分とやるんだろうなと、多分意識していたと思う。でも自分も、そのうちやる選手なんだろうなと。全部は見せていない、向こうもだと思うんですけど」と予感していた対決の時が来る。
 果たして与座がKO勝利し、日本大会へ繋げるのか。それともペッタノンが上手さを見せるのか。

■空手とキックの融合「完成に近づいている」

ONEで完勝デビュー発信©️ONE

 フルコンタクト空手の世界王者から、キックボクシングのトップへ。フルコン空手からキックに転向や、並行して練習する選手も増えているが、与座に顔面への打撃に対する対応のアドバイスを聞いてみた。

 与座は「空手の武器を生かしたいからこそ、空手のプライドを捨て、一旦キックボクシングをしっかりやったほうが良い」と語る。
 続けて「自分も空手のパンチの打ち方だったので、一回キックボクシングをやって。土台ができた上で、自分のバックボーンを落とし込むというのが大事だと思います」と、まず一旦“空手を出る”ことだという。

 さらに「空手で成功してるから、俺はできるんだ、みたいな感じでいきなり空手で入っちゃうと、やっぱり顔面の対応とかもまだ慣れていないんで、うまくいかないのかな。プライドをなくすこと」と心構えを語ってくれた。

 ちなみに与座自身は、空手を落とし込めたのはいつくらいか聞くと「本当、去年くらい。完成に近づいてきた。スパーリングでは100だとしても、試合ではまだ出せていない。進化途中です」とのこと。
 ONEの頂点に上るまさにこれから、与座の“空手融合スタイル”が見られるかもしれない。

■与座優貴が受賞の喜びを語る

 今回受賞した与座には、イーファイトより記念の盾と、ゴールドジムからアルティメットリカバリーなどのサプリメント3種類が贈られる。
 与座は「自分2回目(※22年2月、朝久泰央に最初の勝利)なんで。本当めっちゃ嬉しいですね。また絶対獲ってやろうと思ってて、今回は自信あったんで。また獲れるように頑張りたいな」とコメント。

 普段、サプリメント等は一切摂っていないという与座。 次戦の相手ペッタノンは、23年に禁止薬物違反でタイトル剥奪、出場停止処分になっている。与座はSNSで「ドーピングと計量オーバー(※ペッタノンは昨年12月にパスできず試合中止)だけ勘弁してください」と綴っていたが、インタビューでは「自分はプロテインから始めようかな」とジョークを飛ばした。

 日々の食事と鍛錬からのみ作られる“全身凶器”与座。次戦も注目したい。

(取材/文=遠藤紘史、編集=イーファイト編集部)

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