【コラム】無敵ゲーオ、レジェンドたちが分析する強さの理由と対策方法とは?
■第1章 普通のサウスポーとはここが違う
ゲーオの優れている部分は、目がいい、当て感がある、スピードが速い、さらには慢心せず努力を怠らないといった天性の部分と、11歳からムエタイの試合に出て約200戦のキャリアを持ち、その経験を活かしている部分が挙げられる。
技術的にも偏ったものがなく、パンチ、蹴り、ヒジ、ヒザ、首相撲、防御など全てが突出しており、ムエタイ選手としての完成度が非常に高い。
その中でも、特にゲーオの強さの根幹となるものが、サウスポーであるということ。ご存知の通り、打撃格闘技においてサウスポーは有利だと言われている(様々なスポーツでも有利だと言われている)。オーソドックスに比べて絶対数が少なくオーソドックスの選手がやり慣れていないこと、有効的な攻撃であるレバーへの利き手・利き足での強い攻撃がやりやすいこと、オーソドックスとは攻撃の軌道が違うこと、などが有利な点として挙げられる。
鈴木秀明(元IWMジュニアライト級王者、元全日本&NJKFフェザー級王者/現ストラッグル会長)は、「左の攻撃のどれが来るのか分からないのがゲーオの技術的な特徴」だという。
「左ハイキック、左ミドルキック、左ストレート、左ヒジ、左ヒザ……左の攻撃がどれが来るか分かりづらい。踏み込みの入り方と技の見せ方が似ているんでしょうね。それに右ハイを混ぜたり、フェイントをかけたり、タイミングをずらした蹴りもやったりするので、相手は戸惑う。
実は、ゲーオはそんなに技が豊富なわけではないです。でもヒジ打ちかなと思って身構えたら来なくて、遅れてハイキックが飛んできたりする、そういう引っ掛け技が上手い」
同じサウスポーの佐藤孝也(元全日本フェザー級王者、元NJKFライト級王者/現キング・ムエ会長)は、「サウスポーは距離を取って左ミドルを当てるのが定石ですが、サウスポーでなおかつパンチが上手いファイタータイプは強い」と指摘する。
「サウスポーは自分の距離を取りたがる、どっちかと言えば下がってミドルを当てるとか前蹴りやジャブで入らせないようにするとか、そういうタイプが多いんです。でもゲーオはむやみやたらに前に出て来るのではなく、自分の距離が分かっていて前に出て自分から攻撃してくるから強いです。
左ストレートは軌道が見えにくく、顔に当てやすい。左ジャブもそうじゃないですか。左のパンチは腕と腕の間(ブロック)に入れやすいんです。オーソドックス同士だと立ち位置や軌道や肩の位置を変えないと真ん中にはなかなか当たらないですけれど、サウスポーの左ストレートは当てやすい。
加えて右フックがオーソドックスの人からすると角度的に見えにくい。だから、サウスポーでパンチが打てる選手は強いんです。オーソドックスのパンチャーならヒジを合わせられるパターンも多いですが、サウスポーだと微妙に距離が違うのでヒジも合わせられにくい」
テクニックで相手を封じ込めるタイプや翻弄するタイプのサウスポーではなく、攻撃的で蹴りだけではなくパンチも上手いサウスポーであることがゲーオの強さだということだ。
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