【JFKO】芦原会館が2階級、新極真は4階級を制覇
全日本フルコンタクト空手道連盟(JFKO)
「第1回全日本フルコンタクト空手道選手権大会」(2日目)
2014年5月18日(日)大阪市中央体育館
空手のオリンピック種目化を目指して設立された、220以上の国内フルコンタクト空手団体が加盟する組織(以下JFKO)による記念すべき第1回大会。前日の激闘を勝ち抜いた男子各階級ベスト8、女子ベスト4による熱戦が繰り広げられた。
男女合計8階級の内、参加流派の中で最大の団体である新極真会が4階級を制覇。特に男子は3階級で優勝を飾っており、その実力を見せ付けている。
規模が大きな全日本大会に初参戦となった芦原会館は、男子と女子の軽量級を制して台風の目となった。
大会前は新極真会の全階級制覇もありうると思われていた同大会だが、終わってみれば男子軽重量級を除いて各階級に様々な流派・団体が入賞しており、フルコンタクト空手界の層の厚さが感じられた大会となった。
また全決勝戦終了後、すぐに長渕剛のミニライブが行われ9曲を熱唱。歌う前に長渕氏がトークで空手の素晴らしさを語り、優勝者の名前を一人一人読み上げ健闘を称えた。満員の観客で会場は大盛り上がりだった。
▼男子軽量級決勝戦
○大石航輝(新国際空手道連盟芦原会館)
最終延長戦 優勢勝ち 判定4-1
●岡崎陽孝(淑徳巣鴨空手道部)
大会初日に、参加流派の中で最大の団体である新極真会の有力選手が次々に敗れる波乱の展開。ベスト8全ての選手が違う流派所属という、まさに今大会を象徴する階級となった。
この混戦を制したのは芦原会館所属の大石航輝17歳。準決勝では一回戦で優勝候補の一人、喜久山泰道(社団法人極真会館沖縄支部)に勝利した久原聖矢に延長5-0で判定勝ち。決勝戦は、前日に新極真会の有力選手である河瀬惇志を再延長の末に破った岡崎陽孝との対戦となった。
胴廻し回転蹴りや二段蹴りなどステップを使って攻める岡崎に対し、大石は攻撃を捌き確実に下突きと下段回し蹴り、膝蹴りを当てていく。共に高校生らしくスピードある攻防で一進一退の展開だが、最終延長(3度目の延長戦)で岡崎に痛恨の注意1。判定4-1で大石が接戦を制した。
▼男子中量級決勝戦
○前田優輝(新極真会和歌山支部)
本戦 優勢勝ち 判定5-0
●河瀬俊作(新極真会佐賀筑後支部)
今大会はルールの改正と厳格化が徹底され、見る者にとっては非常に分かりやすい大会となったが、それにうまく対応した選手もいれば、戸惑う選手も多く見られた。
昨年の新極真会全日本ウエイト制大会を制した河瀬俊作と、新極真会全日本ウエイト制大会3連覇の記録を持つ前田優輝との実力者同士の決勝戦。
河瀬はベスト8から毎試合、反則である胸合わせ(相手の胸と自分の胸をつけるほど接近し攻撃を回避する)や、押しで注意を取られながらも勝ち上がっており、新ルールに少し戸惑いが見受けられた。対する前田はベスト8以降の注意は無し、結果的にここが勝負の分かれ目になった。
強引とも見られる前田の突きでの接近戦に、河瀬は押しと胸合わせで注意2を取られ、実質減点の不利な状況におかれた。どうにか挽回したい河瀬であったが、前田の高速後ろ廻し蹴りなどに活路が見いだせないまま試合が終了。判定5-0で前田の優勝となった。
▼男子軽重量級決勝戦
○山田一仁(新極真会兵庫中央支部)
本戦 優勢勝ち 判定4-0
●加藤大喜(新極真会愛知山本道場)
ベスト8全てが新極真会で占められ、層の厚さを感じさせられた階級となった。
前日に2つの一本勝ち(KO)で会場を沸かせた島本一二三(しまもと・かずふみ/新極真会広島支部)を準々決勝で下したベテラン山田一仁が、準決勝でも実力者・森健太(新極真会福岡・奄美支部)を破って決勝へ進出した。
今大会の山田は突きと下段が冴え渡り、2008年に新極真会全日本選手権を制した時の全盛期を髣髴とさせる力強さがあった。もう一方の決勝進出者は、昨年の新極真会全日本選手権の準優勝者・加藤大喜。ベテランvs若手の対決という図式に。
決勝戦でも山田は加藤の前蹴り、膝蹴りに怯むことなく徹底した接近戦を仕掛ける。攻撃をしているものの、やや下がり気味の加藤に対して山田は突きで押し込んでいく。終始攻め続けた山田が本戦4-0で勝利。ここ数年スランプともいえる戦績であった山田が完全復活し、記念すべき大会の初代王者に輝いた。
▼男子重量級決勝戦
○山本和也(新極真会東京東支部)
本戦 合わせ一本勝ち ※2分17秒、下段廻し蹴り
●島本雄二(新極真会広島支部)
昨年の新極真会全日本選手権を圧倒的な力で制した落合光星(新極真会和歌山支部)に、誰がストップをかけるかが注目された階級。
前日の試合でも、125kgの巨体から繰り出す強力な突きで対戦者を下してきた落合が順当に準決勝進出。準決勝では一昨年の新極真会全日本王者の島本雄二と対戦した。
落合有利かと思われた対戦であったが、40kg近い体重差を感じさせず島本は下がらない。本戦後半には胸元への突きのラッシュと前蹴りで攻め続け、手数で圧倒した島本が判定5-0で決勝進出。
もう一方の決勝進出者は、今年の新極真会全関東選手権の優勝者である山本和也。170cmと重量級としては小柄ながら、鋭い上段の蹴りと回転の速い突きで、準々決勝では昨年の新極真会ウエイト制重量級王者・入来建武(新極真会東京城南川﨑支部)を本戦で下し、準決勝では社団法人極真会館世界王者の長田裕也(国際空手道連盟社団法人極真会館小井道場)をボディへの突きで圧倒して決勝へ駒を進めた。
決勝では、準決勝での落合との激闘で左腕が使えなくなった島本が苦しい展開。山本は右の下段蹴りと踵蹴りを集中的に蹴り込んでいく。徐々にダメージが蓄積した島本は技ありを連取され。合わせ一本負け。今大会最大のダークホース的存在となった山本が、初代重量級優勝者となった。
▼女子軽量級決勝戦
○菊川結衣(新国際空手道連盟芦原会館)
本戦 優勢勝ち 判定5-0
●成田優(日本空手道七州会)
ベスト4全員が10代と、新時代の到来を感じさせた女子軽量級。148cmと小柄ながら力強く回転の速い突きで勝ち上がった菊川結衣が、決勝戦で成田優と対戦。
強い突きで前に出ながら、時折、胴廻し回転蹴りなどで変化をつけてペースを握っていく菊川が、顔面への手技による攻撃や引っ掛けなど注意3のあった成田に本戦5-0で勝利。男女とも軽量級は芦原会館が勝利し、2階級を制した。
▼女子中量級決勝戦
○加藤小也香(新極真会愛知山本道場)
本戦 優勢勝ち 判定5-0
●南原朱里(新極真会福岡支部・奄美支部)
新極真会ワールドカップ王者の加藤小也香が優勝候補筆頭。得意の上段廻し蹴り、膝蹴りを中心に試合を組み立て、実力の差を見せつけて決勝に進出。対するは15歳の新鋭・南原朱里。パワーのあるタイプで、準決勝では極真・浜井派の小松せえはに圧力で優り決勝に進んだ。
決勝戦は加藤が左の下突きとリーチのある膝蹴りを中心に終始攻め立て、南原を寄せ付けず本戦5-0で勝利した。
▼女子中量級決勝戦
○木村敬代(渡邊道場)
延長 優勢勝ち 判定4-0
●大野絵実菜(空手道MAC)
このクラスを代表する強豪・木村敬代と大野絵実菜が決勝で激突。23歳ながらすでにベテランともいえる実績のある木村が、得意の突きと下段廻し蹴りで一回戦からすべて本戦勝利。対する大野も全て本戦勝利での決勝進出。
決勝では木村がやや押し気味に試合を展開するも、本戦は2-0の引き分け。延長では突きのパワーで勝る木村が押し切り、4-0で判定勝ちとなった。
▼女子重量級決勝戦
○久保田千尋(久保田道場)
本戦 優勢勝ち 判定5-0
●馬頭愛美(新極真会和歌山支部)
優勝候補の最右翼であった新極真会の世界女王・将口恵美が怪我による欠場となり、大混戦となったこの階級。
混戦を勝ち抜いたのは、もう一人の優勝候補・横山紀子(新極真会和歌山支部)を準決勝で下した久保田千尋と、横山の後輩である和歌山支部の新鋭・馬頭愛美。終始スピーディーな突きと蹴りのコンビネーションで攻め続けた久保田が本戦で勝利した。
<各階級入賞者>
▼女子軽量級
優 勝 菊川結衣(新国際空手道連盟芦原会館)
準優勝 成田 優(日本空手道七州会)
3 位 山口千怜(空研塾西田道場)
3 位 宮里実奈(JKJO関西地区)
▼女子中量級
優 勝 加藤小也香(新極真会愛知山本道場)
準優勝 南原朱里(新極真会福岡支部・奄美支部)
3 位 浅古麗美(国際空手道連盟社団法人極真会館埼玉県木村道場)
3 位 小松せえは(極真会館浜井派)
▼軽重量級
優 勝 木村敬代(渡邊道場)
準優勝 大野絵実菜(空手道MAC)
3 位 増山愛理(国際空手道連盟社団法人極真会館東京都広尾道場)
3 位 谷岡菜穂子(新極真会世田谷杉並支部)
▼重量級
優 勝 久保田千尋(久保田道場)
準優勝 馬頭愛美(新極真会和歌山支部)
3 位 横山紀子(新極真会和歌山支部)
3 位 浦中美夢(新極真会東京城南川﨑支部)
▼男子軽量級
優 勝 大石航輝(新国際空手道連盟芦原会館)
準優勝 岡崎陽孝(淑徳巣鴨空手道部)
3 位 久原聖矢(真実践空手道龍士會)
3 位 松本充史(一般社団法人魚本流空手拳法連盟)
▼男子中量級
優 勝 前田優輝(新極真会和歌山支部)
準優勝 河瀬俊作(新極真会佐賀筑後支部)
3 位 的場彰太(空手道MAC)
3 位 越智純貴(新極真会福岡支部・奄美支部)
▼男子軽重量級
優 勝 山田一仁(新極真会兵庫中央支部)
準優勝 加藤大喜(新極真会愛知山本道場)
3 位 森 健太(新極真会福岡支部・奄美支部)
3 位 前田勝汰(新極真会和歌山支部)
▼男子重量級
優 勝 山本和也(新極真会東京東支部)
準優勝 島本雄二(新極真会広島支部)
3 位 長田裕也(国際空手道連盟社団法人極真会館小井道場)
3 位 落合光星(新極真会和歌山支部)
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