力石徹のモデルで極真王者の故・山崎照朝、強さの秘密は何と破壊する受けだった!高倉健の専属カメラマンが撮影した瞬間
極真会館の『全日本空手道選手権大会』の初代王者で漫画『あしたのジョー』の力石徹のモデルとしても知られる山崎照朝先生(77)が、胆管がんのため22日に死去した。優勝から55年後のことだった。
山崎先生は空手と報道記者の大先輩で両分野で指導を受けた。空手で印象に残っているのは、山崎先生は鋭い蹴りのイメージが強いが、受けが大変強固でそれは鉄の棒のように固く、そのコツをまさに”痛い”ほど教わった。20年2月のことだ。取材を兼ねていたため、その撮影を高倉健の専属カメラマンの山川雅生氏にお願いした。
【高倉健カメラマン撮影】山崎照朝先生の鉄壁の防御!珍しい笑顔、得意のハイキックも
山崎先生は現在のフルコンタクト空手が攻撃一辺倒で、受けない競技空手になってしまったのを嘆き、実戦的な武道空手に戻すべきと語っていた。相手にダメージを与えるのは攻撃ばかりではない、受けでも相手を破壊し、手を出させなくして、そして攻めて倒すのだと語っていた。
山崎先生は突きを腕、ヒジで受ける。それは鉄で叩かれているように痛かった。受けも攻撃の一部と山崎先生。そのコツは下がらないで1ミリでも前に出るように受けることだった。下段回し蹴りのスネ受けも腰、ヒザを前に出しながら受ける。すると「相手は痛いけど、こちらは痛くないんだ」という。中段蹴りはヒザとヒジで挟むようなガードで受けられ、スネが痺れた。思い出すと身体が今でも痛くなってくる。漫画『空手バカ一代』で山崎先生がその受けで佐藤俊和選手を歩行不能にした試合は有名であり、事実でもある。
私自身も極真空手を学び大会にも出たが、私の受けは破壊するものではなく、どちらかといえば引きながら受け流すもので相手にダメージは全くない。対して山崎先生の受けは、下段払いにしても上段受けにしても当てに行くように破壊するものだ。練習中に痛過ぎてほんの10秒ほど休ませてもらったが、これを毎日やっていれば腕もスネも打たれ強くもなるのだろう。さらに全ての基本となる、しっかりした構え方、姿勢なども教わった。
この指導は前述したように20年2月。「取材を受けるのはこれが最後」と先生。こんなしっかり教えていただける機会はないと、重要な撮影の時に依頼する高倉健の専属カメラマン山川雅生氏に撮影してもらった。その攻防一体の技術の内容は雑誌『Fight&Life』掲載することができた。山崎先生と山川カメラマンは話が合い、にこやかな表情も撮影できた。
山崎先生からは極真時代のエピソードなど、ここでは書ききれないほど裏話も教えて頂いた。仕事では記者として困った時には助けて頂いたこともあり、さらに記事の執筆をお願いしたことも何度かある。
山崎先生が癌と聞いたのは先月初旬だった。検査入院と聞いており6月にも退院するとのことだったがまさかこんなに早く亡くなられるとは。またこの写真を撮った山川雅生さんも23年1月に他界。両氏とも弊社に多大な協力を頂き感謝に絶えない。次ページに山川カメラマンが撮影した山崎先生の写真を数点掲載する。ご冥福をお祈りしたい。
(イーファイト 吉倉拓児)
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