2015年10月度MVPスペシャルインタビュー 島本雄二(空手:新極真会)
毎月イーファイトが取材した大会の中で、最優秀選手を決める月間MVP。2015年10月のMVPは、10月31日(土)・11月1日(日)の両日に東京体育館で開催された全世界空手道連盟・新極真会主催「第11回オープントーナメント全世界空手道選手権大会」で、初優勝を収めた島本雄二に決定!(2015年11月11日UP)
PROFILE
島本雄二(しまもと・ゆうじ) |
選考理由
1、「4年に一度の世界選手権で優勝」
2、「全7試合中5試合を本戦で決着」
3、「まだ25歳と若く4年後の二連覇が期待される」
選考委員
Fight&Life、ゴング格闘技の各格闘技雑誌の編集長とイーファイトの全スタッフ
受賞された島本選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムMVP記念インタビュー
空手に人生を懸けようと会社を辞め、世界選手権に集中した
■不安は一切無く“やってやろう!”という気持ちだけだった
今回で11回目を迎えた全世界空手道選手権大会。世界90の国と地域から選抜された選手たちが、体重無差別で4年に一度の新極真会世界一の座を争った。
日本は過去10回の大会でいずれも優勝を収めており、空手母国の威信を保っている。しかし今回は、過去5回の大会で日本の大黒柱として活躍した塚本徳臣が前回大会で引退しており、絶対的な優勝候補がいない厳しい状況で戦いに臨んだ。
そんな中、見事世界一の座に就いたのは新エースとして期待されていた島本雄二だった。島本は2012・2014年の全日本選手権(無差別級)で優勝しており、前回の世界選手権でも7位に入賞している。日本のエース格という大任を見事に果たしたのだ。
「とりあえずホッとしたというのが一番です。日本のエースとしてポスターや看板などに写真を出していただいて、これだけ期待してもらっているのだから、自分がやらなければいけないという思いは常にありました。そのプレッシャーが常にあった中で勝てたのでよかったです。練習の時は“負けたらどうしょう”と不安になる時もありましたが、それで練習を頑張れました。試合の時に不安は一切無く“やってやろう!”という気持ちだけでした」
島本は1回戦がシード、2回戦から出場すると決勝戦までの7試合で、延長戦までもつれ込んだのは準々決勝と決勝の2試合のみ。その2試合も危なげなく勝利し、全試合を通して安定した強さを発揮。
準決勝では外国人選手で唯一ベスト4に残ったルーカス・クビリウス(リトアニア)と対戦。
2年前にリトアニアで開催された『第5回カラテワールドカップ』の重量級準決勝で敗れたリベンジを果たすと、決勝戦では昨年の全日本選手権決勝戦でも対戦した入来建武と再戦。再延長戦の末に入来を振り切った。
「仕事を辞めて空手に専念することが出来るようになったのが大きな自信になったのだと思います。働きながらの環境では練習時間が限られてくるので、空手だけにして世界大会に集中しよう、空手に人生を懸けようと決めました。今まで働きながらも空手に懸けてやってきたんですが、世界大会で勝つためにはまだまだこれでは足りないと思ったんです」
会社を辞めて、世界チャンピオンになるため空手に専念したい。家族にもその真剣な想いが伝わった。
「妻もすぐに理解してくれました。世界チャンピオンになりたいと僕がずっと言い続けていたので、いつかこの日が来ることは覚悟していたと思います。だから話をした時は“あなたがやりたいことだからいいよ”と言ってくれて。妻のご両親も応援してくれて、“そこまで懸けることがあるのは羨ましい”と言ってくれました。みんなに後押しされる形で出来たのでよかったです」
■いかにタイミングをずらして不意に打つか、をテーマにした
試合が危なげなく見えたのは、ディフェンス面を強化したことが大きかった。
「攻撃面ももちろん強化しましたが、トーナメントは勝ち上がっていくにつれてダメージの蓄積が致命的なことになってくるので、そのダメージを少なくして勝ち上がっていくには相手の攻撃をもらわない戦いをしないといけないと考えました。それがしっかり出来たのだと思います。
世界大会前にいろいろ気付いて、練習方法も少し変えたところがあったので、それが凄くしっくりきた大会でした。広島支部から出た3人とも調子がよく、勝ち上がれたので間違っていなかったと思います。相手の技をしっかり見ることが出来ました。
単純にかわす、防御するのではなく、今までは攻撃をかわすところで終わっていたのですが、攻撃をかわしてから自分が攻撃するまでのスピードを速くしたんです。それによって相手が崩れて次の攻撃が出来なくなる、相手に攻撃をさせなくするというイメージです。それを自分の動きを止めずに足を動かしながらやり(フットワーク)、しっかり確実に当てていくという戦い方をしました」
特に今回は突き(パンチ)がよく出来ていたと島本は振り返る。
「もちろん突きも蹴りも両方強化してきましたが、突きの感触が凄く良かったです。元々、得意の前蹴りも蹴ることが出来て、ボディに攻撃を集中することが出来ました。技が効いてくると“倒せるかもしれない”という欲が出てしまい、逆にリキんでしまったのが最後まで倒しきれなかった要因だと思います。
一番はタイミングです。足を動かしてすぐに突きを打つとか、相手の攻撃をかわして突きを打ったりとか、タイミングをしっかり捉えたから効かせられたのだと思います。選手はみんな鍛えているので、普通に力が入っている状態で叩いても効きません。いかにタイミングをずらして不意に打つか、をテーマにしてやってきました。倒せないまでも倒せる感触があった試合が何試合かあり、何かをつかみかけたのでこれからに生かせると思います」
優勝した直後のインタビューで、島本は即座に「(4年後の)第12回全世界大会で二連覇を目指します」と宣言した。優勝した余韻に浸ることなく、大いに喜ぶこともなく、すぐに次のことを考えたのはなぜなのか。
「世界選手権大会は最高峰じゃないですか。終わったところで気持ちが落ちてしまうと、またモチベーションを上げるのはしんどいなと思ったんです。それであえて試合前から、今回の優勝だけでなく二連覇を目指すとの目標でやってきました。だから今、気持ちもモチベーションも落ちることなく、次に向けて動き出しています。また4年間しっかり日本を引っ張っていきたいと思います。まだ引退する年齢でもないですし、自分の空手が発展途上でまだまだ強くなれるとの確信があります」
実際、島本は優勝した実感がまだ沸かないという。心の底から優勝を喜べるのは、目標である二連覇を達成した時なのかもしれない。4年後へ向けて、島本雄二はすでにスタートを切っている。
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試合結果 新極真会 世界大会で島本雄二が初優勝
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