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第16回 ミルコを追い詰めたサークリングとビートの巻

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 最新の試合を題材に、打撃のスペシャリストである筆者が打撃技術を分析していく。その第16回目は、4・23UFCで衝撃のKO負けを喫したミルコ・クロコップの敗因を探る! ガブリエル・“ナパオン”・ゴンザガはいかにしてミルコを完璧に攻略したのか?

■一発の武器を持つ相手へのサークリングは実は困難

 ミルコ超期待のUFC2戦目。結果は周知のとおり、誰もが「えーーっ!?」と度肝をぬかれ たまさかのハイキックによる失神KO負け。私が知る限り、ハイキックで倒れたミルコを見たのは初めである(過去にK-1でホーストに右ボディストレート、 PRIDEでランデルマンに左フックでのKO負けなどはある)。

 見事な右ハイキックでミルコを倒したナパオン! その戦法は見事なまでにミルコの弱点を巧みに分析し、対策を十分に練り上げてきたように思える。

 ミルコと対戦したほとんどの相手は右手を異常なまでに高く上げた左ハイキック対策の構えをとるか、打撃に怯えるばかり何の策もないまま後ろへ下がり、組み付くチャンスをうかがうか、のどちらかである。

 だが、このナパオンはラウンドの立ち上がりから徹底的に左回り(サークリング)を行い、左ハイ殺しの対処法を取ってくるのである。スムーズかつ自然なサークリングの動きを観て、相当ミルコ対策に備えた質・量の伴う練習を行ってきていることを察することができた。

 私自身の経験から言わせてもらえば、1992年にSB世界ホーク級(現ミドル級)タイトル マッチで“人間風車”の異名をとるマンソン・ギブソンと対戦した私は、バックキック対策としてナパオン同様に左回り(サークリング)を徹底的に行おうとす るのだが、「ヘビに睨まれた蛙」の様に体が膠着し、柔軟に動けなかったのを記憶している(このサークリングだけの練習に一日約6時間、それを3週間近くも 費やし、絶対的な自信をもってリングに上がったのだが…)。

 試合で、一発の武器を持ち合わせるKOアーティストの周りをサークリングすることが、どれだけ困難であるかを身をもって知っている私には、このナパオンの柔らかく自然なサークリングの動きに正直驚かされた。

■左ハイキックを封じた“ビート”という技術

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