第40回 ヒョードル圧勝の理由と石井最大の欠点、の巻
打撃のスペシャリストである筆者が、最新の試合を題材に打撃技術を分析していく連載コラム。今回は12月31日に行われた「元気ですか!! 大晦日!! 2011」のエメリヤーエンコ・ヒョードルvs石井慧を分析。これまで不調だったヒョードルが今回圧勝できた理由、そして石井が取るべきだった策とは?
■今回ヒョードルの身体は浮いていなかった
大みそかに行われた1年ぶりとなる石井の国内での試合。相手はPRIDE時代に人類最強と謳われたヒョードル。柔道の五輪金メダル獲得後、 ヒョードルらの名前を戦いたい相手に上げてMMA(総合格闘技)の世界に踏み込んだ石井にとっては念願の対戦相手でもあり、日本で自身の実力を知らしめる には絶好の機会だっただろう。
ただ最近のヒョードルの試合内容は、全盛期の実力とは言い難いものだった。ストライクフォースのヘビー級トーナメントで敗退し、階級を落とし た再起戦でも難敵ダン・ヘンダーソンの打撃の前に逆転のKO負け。直近の試合、ジェフ・モンソン戦では判定勝ちは収めたものの全盛期のパンチのキレ味はな く、グラップリングが得意なモンソンのブロッキングすら崩すことが出来なかった。
モンソン戦ではパンチコンビネーションのトリプル(3連打)の繋ぎで意識を上半身に散らし、左右のローを繰り出すという完全にコンビネーション型の選手に変貌していた。 野球ではよく速球で勝負してきた投手が、スピードの衰えと同時に変化球投手にシフトしていくということをよく聞くが(自分の知る範囲では元巨人の江川元 投手)ヒョードルにおいても一発で仕留めるキレがなくなり、コンビネーション型に変化したのでは……と思えた。全盛期のヒョードルなら打撃が不得意なブ ロック一辺倒であるモンソンのガードの隙をついて、もしくはガードごと潰す威力あるパンチで倒していただろう。
モンソン戦後に組まれたこのヒョードルvs石井戦。直近のブラジルで行われたパウロ・フィリョ戦の試合内容が良かった石井が相手だけに、この 試合が決まった時はもしや……と期待を膨らませていた。グッドシェイプされた石井は、両手の構えの位置、肩の力の抜け具合、構えの軸、さらには顎の引き方 など今までの石井とは思えない程のものだった。
さらにグラップリングを得意とするフィリョが相手とはいえ、不用意に打撃をもらわず間合いを詰めながら、組みの間合いに難なく入っていくなど、格段に打撃のスキルアップを図っていると感じたからだ。
だが、そんな期待は序盤から大きく覆されていく。 ・・・
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吉鷹弘の「打撃」研究室 第40回 内容 |
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