【WFKO世界大会】女子の網川来夢vs目代結菜は技の名勝負に!審判の厳しすぎる”反則”に改善求む声
WFKO(全世界フルコンタクト空手道連盟)主催『第1回全世界フルコンタクト空手道選手権大会』 の決勝が6月1日に行われ、女子軽重量級は網川来夢(21=新極真会 福岡)が目代結菜(22=新極真会 城南川崎)を判定で下し優勝を果たした。
一般的に女子の試合は超接近戦でパンチ連打とローキックに終始することが多いが、この試合は一転、中間距離での高度な技の攻防となり、観客を魅了した。惜しむべくは目代に顔面殴打の注意2があり、本戦2分の判定5-0の大差で決着してしまったこと。もっと見たい名勝負だった。この注意2は注意1とは比較にならないくらい重く、取られてしまうと負けはほぼ確定だ。
【フォト&動画】互いの技の攻防、目代が顔面殴打で網川が倒れる瞬間
この網川vs目代で目を見張ったのは、両者とも腰を低く構え、相手の出方を伺いながら、遠距離から中間距離での蹴りから突きの攻防が始まったこと。そこには駆け引きも見え、技もあった。女子の試合は前述した通り、序盤から超接近戦でパンチ連打一辺倒で、わずかに見える20センチほどの間合いの空間でのボディの打ち合いだ。さらに道着で一部間合い空間が隠れ、10mほど離れてしまうだけで客席からは何が行われているのか分かりにくい。
それに比べこの両者の試合はわかりやすい。低い構えから練るような動きは極真空手の創始者・大山倍達存命時に大会を席巻した廣重毅支部長が率いる東京城南川崎支部を代表するものだ。かつてこの城南支部で選手として活躍したのが網川の師である緑健児(WFKO会長)、目代の師である入来武久(新極真会・東京城南川崎支部・支部長)。時代を超えその弟子が世界の決勝で対決した。筆者も40年ほど前から極真を見てきているため、この2人の組手内容は当時の城南支部同士の対決を彷彿させた。
“高速パンチ女子大生”で有名な目代だが元々は蹴りが得意な選手。対する身長170cmの網川に対し前蹴りからのパンチで中心に攻め立てる。対する蹴りが得意な網川も前蹴りからカウンターのローキックなどをヒットさせ一進一退の攻防が続いた。
しかし、ラスト30の互いの打ち合いの中、目代のパンチが網川の顎をかすめる。やや痛そうな網川。これで目代が注意1、再開後、網川の猛攻に応えた目代のパンチが再び網川の顎に流れヒット!網川はヒザをつく。これで目代が注意2。そしてまもなくタイムアウトとなり、判定5-0の大差で網川の優勝が確定した。
◼️反則に対する賛否
WFKO、JFKOのフルコンタクト空手の大会は数百のフルコンタクト空手団体、流派が集結し運営されている競技団体だ。各団体により反則を取るサジ加減が違う。たとえば手で相手を押す行為は反則だが、相手に触れただけで押しとみなし注意とする審判、明確に押さないと反則にしない審判の差があるなど、選手にとってはその審判運で勝敗も変わってくる状況だ。SNSの動画に「これがなぜ反則か」とアップされ討論されるなど、試合から1週間経ってもその熱さが続いている。
試合では注意はすぐに取られるが、加点ポイントとなると非常に少ない。ポイントと言えるのは相手へダメージ、倒しての「技あり」か「一本」のみ。手による顔面への攻撃は禁じられているため、「技あり」「一本」は少な目で、女子は皆無といった状況。しかし注意は頻繁に取られており、注意2は技ありに近いポイントとされ、ほぼ勝負確定だ。これでは一般的な競技としての加点と減点のバランスが取れているとは言えないだろう。
この注意2は簡単に取られる割に厳しすぎると多くの関係者からも多く聞く。他競技から改善点も参考にできるだろう。
【注意2について=フルコンタクト空手道連盟 ルールブック】両者の差が「注意」2つの場合は、基本的に 「注意2」を取られた方が負けである。但し、 相手を8:2以上大きくリードした場合は、 引き分けも有り得る)。
【他競技に見る反則注意】
オリンピック競技の柔道のように指導3までは判定に響かず指導4で失格。
格闘技ではボクシングやキックボクシングなど注意の前に口頭注意があり、それでも治らない場合は注意1が与えられる。
ちなみに大山倍達総裁時代の極真は、注意の前に口頭注意が存在し、注意2まで行くのは余程のことだった。今よりも倒すことで勝負を決することにこだわりがあり人気も高かった。
審判によって注意に幅(サジ加減の差)がある場合、試合に直接影響を与えない少し押した程度の反則、触れた程度の顔面殴打は口頭注意とし、2度目の反則で注意1などルールブックに明文化されることを望みたい。
また、顔面を殴打された側が大の字になって倒れ、10カウント以上も倒れているのに選手本人が大丈夫と言ったら試合再開なども度々見られた。脳ダメージの観点から危険であり、他の格闘技のようにダウンした選手は試合中止、倒れた時点までの判定とするなども考えられるだろう。とはいえ素晴らしい試合も多かった第1回の世界大会、今後さらに改善し進歩を続けていくことを願いたい。
(イーファイト:吉倉拓児)
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