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【コラム】
マクレガーvsメイウェザー実現阻止をデ・ラ・ホーヤが画策
UFC社長が猛反発、デ・ラ・ホーヤの矛盾を突く動画をアップ

元WOWOWのUFC中継解説者としても知られる格闘技ジャーナリストの稲垣收(いながき・しゅう)氏が、世界を舞台に格闘技のディープな情報を発信する世界格闘技最前線。
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“世紀のメガマッチ”コナー・マクレガーvsフロイド・メイウェザーが実現に近づいている。しかし元ボクシング6階級制覇のオスカー・デ・ラ・ホーヤがこれに猛反対し、断固阻止しようと動いている。UFCのデイナ・ホワイト社長はデ・ラ・ホーヤの動きに猛反発、SNSにデ・ラ・ホーヤのインタビュー動画までアップし彼の発言の矛盾点を突いた。(文:稲垣 收)

■6階級制覇オスカー・デ・ラ・ホーヤが反対論

 UFC史上初の“同時二階級制覇”を成し遂げたコナー・マクレガーと、ボクシングで前人未到の“無敗のまま5階級制覇”を成し遂げたフロイド・メイウェザー・ジュニアの“メガマッチ”構想が、いよいよ実現に近づいている。

 マクレガーは専属契約を結んでいるUFCと、メイウェザー戦に関して合意する契約を結び、メイウェザーも「マクレガー戦実現の可能性は90%だ」と発言。

 そしてイーファイトでも報じたとおり、マクレガーの友人で、UFC登竜門番組『ジ・アルティメット・ファイター』でマクレガーのコーチを受けていたスペイン人総合格闘家アブナー・リョヴェラスが、「ビッグニュースだ。マクレガーvsメイウェザーは9月だ」と米国のテレビのインタビューで発言した。

 だが、ここに来て、この“ドリーム・マッチ”を阻止しようという動きが起きている。ボクシングで6階級制覇を成し遂げたオスカー・デ・ラ・ホーヤが、大反対の声明を出し、メディアのインタビューでも、反対論を繰り返しているのだ。

 5月26日(現地時間)にデ・ラ・ホーヤはメイウェザーvsマクレガー戦に反対する声明をFacebookに出した。

 デ・ラ・ホーヤ自身は、現役時代の2007年5月にメイウェザーと戦って接戦の末、判定負けしている。引退後はゴールデンボーイ・プロモーションを率いる敏腕ボクシング・プロモーターとなっており、同プロモーションの所属選手、サウル・“カネロ”・アルバレスは9月16日にゲンナジー・ゴロフキンと“メガファイト”を行うことになっている。

「ボクシング・ファンの皆さんへ」と題した上記のFacebookでの声明の中で、デ・ラ・ホーヤは書いている。

「これを書いているのは、皆さんと一緒に、ボクシングというスポーツを守りたいと望んでいるからです。フロイド・メイウェザーvsコナー・マクレガーとして知られるサーカス(道化芝居)が近々、実際に行われる可能性が日々、高まっているように思えます。

 アンダーカードも決まりつつあるし、アスレティック・コミッションも何百万ドルもの収益に目がくらんで許可を出し、自分の儲けを計算している選手たちもいますが、この“茶番”が絶対実現しないよう頑張っている人たちのグループがいます。私たち、そして、このスポーツの活力源であるファンの皆さんです」

 デ・ラ・ホーヤは“道化芝居”“茶番”などと、かなり厳しい言葉を使って批判している。

 さらに、史上最高額のファイトマネーを稼ぎ出した2015年5月のメイウェザーvsパッキャオのメガファイトについてもバッサリ切り捨てる。

各所に波紋を呼んでいるマクレガー(左)vsメイウェザー(右)PHOTOS=UFC:By courtesy of Zuffa LLC / Getty Images
Boxing:NAOKI FUKUDA/WOWOW(c)

「フロイドとマニー・パッキャオの試合が7年間もファンを待たせたあげく実現したものの、期待外れの退屈な試合に終わったことで、ボクシング界はダメージを受け、今ようやくそのダメージから回復しつつあるところです」

 たしかにメイウェザーvsパッキャオ戦は、あまりにもファンの期待が大きく、PPV(ペイ・パー・ビュー=有料視聴)料金も通常の2倍の約100ドルだったにもかかわらず、「退屈だ」との感想が多かった。その反動で同年9月に行われたメイウェザーの引退試合(vsアンドレ・ベルト)のPPV契約数は40万~55万件どまりだった。

 メイウェザーが、復帰戦の相手としてマクレガーの名を上げたのは、マクレガーが“数字が獲れる”男だからだ。

 昨年のUFCは5大会が100万件超のPPV契約だったが、うち3大会がマクレガーの試合をメインにすえた大会だった。3月の『UFC 196』でのネイト・ディアス戦が131万7000件、8月の『UFC 202』でのネイトとの再戦が160万件、そして11月にライト級王者エディ・アルヴァレスをKOして史上初の“UFC同時二階級制覇”を成し遂げた『UFC 205』が130万件だった。

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