【吉鷹弘の打撃研究室】連載第53回「敗れるも、森井洋介に見た打倒ムエタイの可能性」の巻
打撃のスペシャリストである筆者が、話題の試合を題材に打撃技術を分析していく連載コラム。今回は5月2日に『ZONE×REAL 第二章 第1部 ZONE 2』で行われたマキ・ピンサヤームvs森井洋介を分析する。敗れはしたものの、筆者が見た森井の打倒ムエタイの可能性とは!?
■森井を封じ込めたピンサヤームのテクニック
私が最も注視していたこの一戦は、今回のZONE興行の中でのベストバウトとなった。
序盤、後の先(相手が仕掛けてきた技に合わせて掛ける技のこと)狙いのピンサヤームの、素早い返しの攻撃を警戒する森井は容易に中に入ることが出来ない。
何度か左のロングフックを繰り出すものの、わざと踏み込みを抑えているので当然のことながらピンサヤームにはまったく届かない。ピンサヤームは森井のパンチに左フックの合わせ技や返し技を狙っているように見ていて感じたが、森井もそのあたりのことはよく認識し、相手の狙い等を十分に察知していたから踏み込みを抑えていたのだろう。
森井はボディ攻めから切り崩したいところだが、容易にここから試合展開を作れる感じではなかった。
左ジャブのフェイントから右のボディストレートを森井が放てば、すぐさま恐ろしく速い右ハイが返ってくる。右ボディストレートが駄目ならば左のレバー打ちを放つ森井だが、同様に右ハイが返ってくる。そのため、返しへの対応に備えるので十分に拳にシフトウェートをすることが難しい(シフトウェートが難しい=打撃に威力がなくなる)。
それでも何とかして試合展開を変えようとする森井は、少しずつ前に前にと圧力を掛けるように出始める。一気に前に出ることは多大なリスクがある……という判断をしたからだろう。
少しずつ間合いを詰めることは実に功を奏していた。一気に詰めれば、ピンサヤームの右ストレート、左フックを合わせられていただろう。
この日のピンサヤームは、今まで私が見た試合の中でも一番キレがあり、カウンターの精度も群を抜いていた。おそらく森井の実力を十分に評価していたからであろう。
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吉鷹弘の「打撃」研究室 第53回 内容 |
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