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【月間ベストファイター・10月】9戦無敗で王者となった龍聖に決定、自身で明かす進化と今後

■進化する龍聖の強さに迫る!無敗で勝ち続けられる鍵とは?

前戦は強烈なパンチで攻め立て初回でTKO勝利(2021年8月)

 無敗の快進撃を続ける龍聖の強さはどこにあるのだろうか。

 それは、どのような攻撃を放つ際にも身体の軸がブレないことだ。その秘訣を問われると「(トレーナーの)ノップと小さい頃からずっとやっている練習の積み重ねです。『建物とかも地面が悪かったりしたら崩れるでしょ』ということで、基本は疎かにせずやっています」と答える。

 過度な量のトレーニングは行っていないというが、毎日6kmのランニングを1日2回こなし、腹筋のトレーニングを行うなど日々の鍛錬を続けてきた。その成果として、龍聖の現在のスタイルが創られているのだろう。

 また、他のファイターと異なる点として、試合ごとの自己分析を徹底的に行って来たことが挙げられる。今回のタイトルマッチを除く、デビュー後の8戦は試合前に様々なことを試しながらリングに上がり、その良し悪しのデータを収集していた。

前蹴りで相手をのけ反らせる龍聖(2021年3月)

「こういう感情、メンタル面で臨んだらどうなるのか、こういうスタイルでいったら、こういうもの食べてやったらどうなるんだろう」といったように、様々な面からポイントを洗い出し次戦に活かしてきたのだ。

 メンタル面の分析については「力んでしまって判定になった時は、入場してリングに上がった時に観客などの周りが見えませんでした。その時は、相手しか見ていなくて結果的に力んでしまいました。調子が良かった6戦目は、(入場してリングに上がった時に)リングサイドにいる人が見えたのを覚えています。それからリラックス出来るように、周りをしっかり見ることは心がけています」と語った。

 独自の試合前のルーティンや意識など、一つ一つの試合に向けてのトライ&エラーが、龍聖の強さの秘訣。「少ない試合数で色々なことを試して、データ化してやっていくことが大事です」と龍聖はいう。

 王者となった龍聖は、今後は更なる強豪選手としのぎを削っていくことになる。これまでは圧倒的なKOもしくは、順当な判定勝ちで勝利を重ねてきたが、接戦の削り合いや延長Rに渡る激闘なども当然見据えている。「これからは大事な試合が多くなるので、冒険はできない」と試す機会は減っていくが、これまでの積み重ねが今後の龍聖を支えていくだろう。

■トレーナー指導で相手の分析力が向上、チームを想う龍聖ならではの進化

飛びヒザを放つ龍聖(2020年12月)

 最近の龍聖の強さの秘訣は「トレーナー的な視点を身に付けた」ことにある。TRY HARD GYMで育ってきた龍聖は「TRY HARD GYMが大好きでもっと大きくしたい。みんなで幸せになりたい」と語る。「チームのみんなが大好きで、みんなで笑顔になりたい」との思いもあり、ジムに所属するRISE女子アトム級王者・宮崎小雪やKOKOZをはじめとする多くの仲間のミットを持ち、セコンドについている。

 その活動から得たものは、かなり多いと龍聖はいう。具体的には「最近はトレーナー的な観点が分かるようになってきました。ミットを持ったり、試合を見たりして『この攻撃の質は倒せる質』とか、『重いけど効かない』とか、『ポテンシャルやセンスを持っている』というのが分かるようになってきましたね。選手の体を見ただけでも、分かるようになりました」と、選手の能力を察知出来るようになったことを挙げた。

ロッタン(左)©️ONE

 龍聖は、ONEのリングで活躍するロッタン・ジットムアンノン(タイ)が相手のパンチを受けて、挑発する場面を例に挙げた。「ロッタンは、相手の力量を測って大丈夫だと分かっているから(ノーガードで挑発する)パフォーマンスをやっている。どんな避け方をすれば大丈夫なのかも全部分かっています」と分析。そのような相手に対峙して、即座に相手の力量を測る能力が、龍聖にも備わってきている。

 実際に今回の銀次戦に関しても「パンチも蹴りも顎以外に貰わなければ、効かないと思っていました。ガードだけしていれば、70%で手に当たって力が半減していくので大丈夫と思いました」と即座に相手を分析している。

▶︎次ページは今後の試合、そして王座戴冠後の元K-1石井館長の言葉

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