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【グラップリング】平林るいがワールド・コンバット・ゲームズで優勝

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2023/10/29(日)UP

平林るいがグラップリングで見事優勝を飾った

 10月20日(金)〜30日(月)サウジアラビア・リヤドにて開催されている格闘技の国際大会『ワールド・コンバット・ゲームズ(=WCG)』。大会4日目の23日に行われたレスリング競技の1つ、グラップリングでは日本から出場した平林るい(SKアカデミー)が優勝を飾った。

 13年のロシア・サンクトペテルブルグ大会以来10年ぶりとなった本大会では、サンボ、レスリング、相撲、柔術、ボクシング、ムエタイ、キックボクシング、サバット、空手、剣道、太極拳、腕相撲、フェンシング等を実施。
 レスリング競技としては、オリンピックスタイルのグレコローマンスタイルと、ノンオリンピックスタイルのグラップリング、パンクラチオン、ベルトレスリングの計4種目が行われた。

 本大会のグラップリングは、昨年のグラップリング世界選手権の成績上位から選ばれた一次選考選手4名、今年4月にウズベキスタンで開催された予選会を勝ち抜いた選手、ワイルドカードにより選出された一部選手の合計8名によるトーナメント戦が23日に行われた。
 グラップリングは道着なしの「Grappling」と道着ありの「Grappling Gi」があり、世界選手権では、スタイル・性別・体重別に計26階級が設定される。今回は、その中から10階級が実施され、日本からは昨年の「Grappling Giシニア女子53kg級」世界王者である平林が第一次選考選手としてエントリーされた。

細かい駆け引きを展開する平林(上)

 グラップリングは、「UWWグラップリング」と称されることもある通り、UWW(=世界レスリング連合)が推進するノンオリンピックスタイルのレスリングの1つでルール的にはブラジリアン柔術がもっとも親和性の高い競技。
 スタンド状態でのサブミッションや、道着の裾の内側に指を入れてつかむことも認められており、他競技に比べると油断できないシチュエーションが多い。脚関節(ヒールフックは禁止)や圧迫技(カーフスライスやキーロック等)も狙う事が出来る。
 勝敗は、サブミッションによる一本勝ちを目指すのが原則だが、タイムアップになった場合テイクダウンやポジションによって与えられるポイントにより勝敗が決する。この点は、ブラジリアン柔術、サンボ、レスリングと同様だ。

 平林は柔道出身で、東海大学卒。学生時代にはサンボの日本代表として世界選手権の出場もあり、サブミッションへの免疫もある。ここ数年はブラジリアン柔術も行い、グラップリング・ルールへの対応に不安は無かった。

決勝では判定勝利を収めた平林

 1回戦の相手は、YELDOSKYZY(カザフスタン)。本来は1階級上の58kg級で、昨年の世界選手権銅メダリストだ。事前のリサーチから、スタミナに難があるかもしれないとのことで、試合は攻め重視の策をとり、テイクダウンでトップポジションをとった後は、サイドにまわりサブミッションにトライ。
 腕十字固めに入り、そのまま一本勝ち。速攻が功を奏した。

 2戦目の準決勝。勝ち上がってきたのはRATCLIF(フィリピン)。初戦ではフィジカルの強さを発揮して闘っていたため、無理せずにポイントを確実にとることを念頭において試合開始。
 まずは、組み勝ち投げてトップポジションに。トップのままパスガードを狙わないとコーション(注意)を受け、相手にポイントが入るため、絶えずパスを狙うが、予想以上に力が強く、簡単に脚を割らせてくれない。途中、何度かサイドに回り込むがポイントにつながらない体制が続く。
 しかし、常にトップを維持しアタックを続けたためにコーションによる失点もなく無難に判定勝ち。決勝進出を決めた。

国旗を掲げる平林

 決勝戦の相手は、21年世界選手権優勝者MARTIN(スペイン)。グリップファイトでは細かな駆け引きを行い、結果的に狙い通りのテイクダウンが成功し、トップに。早々に、担ぎを連続してしかけて、サイドポジションのポイントを追加。サイドについても、やはり下からしつこくリバーサルをねらってきた。背中をつかもうとする相手の腕をブロック。
 この展開が続き、根比べの様相を呈したが、平林はバランスをキープし、強いベースでトップを維持し続ける。見た目上は大きな展開が無かったが、細かな道着を使った攻防がありスキのない試合。サイドをとった状態でタイムアップ。平林が判定勝ちながら『ワールド・コンバット・ゲームズ』王者に輝いた。

 グラップリングは、ベテラン(35歳以上)やU15、U17、U20の世界選手権も開かれており、今後ますます世界的な普及が見込まれる競技。ブラジリアン柔術に近しいルールながらも、テイクダウンにも重きをおいており、オリンピックスタイルレスラー、柔道家、サンビストでも活躍できる要素がある。
 過去の世界選手権では平林以外にも、米倉大貴、池田海南江、タカ・クノウ(久能孝徳)、渡部修斗、水洗裕一郎らが日本人選手として優勝。銅メダリストも複数輩出してきた。さらなる日本からの参戦が期待される。

【平林るい 試合結果】

<決勝>
○平林るい
判定5-0 VBD2
●Naiomi Anaiansi MATTHEWS MARTIN(スペイン)

<準決勝>
○平林るい
判定4-0 VBD2
●Maria Aisa RATCLIF(フィリピン)

<1回戦>
○平林るい
VBS
●Botakoz YELDOSKYZY(カザフスタン)

※VBD2=判定勝ち(相手にポイントなし)
※VBS=サブミッションによる勝利

【出場選手と順位】

1位  Rui HIRABAYASHI(=平林るい/日本/2022年世界選手権1位)
2位 Naiomi Anaiansi MATTHEWS MARTIN(スペイン/2021年世界選手権1位、2022年世界選手権3位、2022年&2023年ヨーロッパ選手権1位)
3位 Kristina RAU(ドイツ/2023年ヨーロッパ選手権3位(58kg級))
4位 Maria Aisa RATCLIF(フィリピン/2018&2023年世界選手権5位)
5位 Soumaya SAFI(フランス/2022年世界選手権 U17 2位(65kg/Grappling 1位))
5位 Botakoz YELDOSKYZY(カザフスタン/2023年世界選手権3位(58kg級))
7位 Tetiana ASTAKHOVA(ウクライナ/2023年 世界選手権 3位)
7位 Zhenishgul ABDYRAKHMAN KYZY(キルギス/ワールド・コンバット・ゲームズ予選1位)
※大会成績は、注釈がないもの以外は「Grappling Gi シニア女子53kg級」のもの

情報/写真提供:日本格闘競技連盟

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