【コラム】マクレガーがボクシング・ライセンス獲得
メイウェザーとの“超ドリーム・マッチ”は実現するか?
11月12日の『UFC 205』でエディ・アルバレス(アメリカ)をKOしてUFC史上初の二階級同時制覇を成し遂げたコナー・マクレガー(アイルランド)が、カリフォルニア州のボクシング・ライセンスを獲得! 昨年引退した“ボクシング界のスーパー・スター”フロイド・メイウェザーに「復帰戦をするなら相手の第一候補はマクレガーだ」と指名されていただけに、気になるニュースだ。実現すれば2015年のメイウェザーvsパッキャオ戦にも劣らぬメガ・イベントとなるだろう。はたして実現の可能性は? そしてマクレガーの勝機は?(文:稲垣 收)
■“UFCフェザー級絶対王者”アルドを瞬殺した“有言実行の毒舌王”
マクレガーといえば、試合前に対戦相手を徹底的にこきおろす“トラッシュ・トーク”と“予告KO”でおなじみだ。それによってメディアやファンの注目を集めてきたわけだが、マクレガーの場合、同じ“毒舌家”でも、かつてUFCミドル級絶対王者アンデウソン・シウバに向かって大口を叩いたあげく二度も完膚なきまでにやられたチェール・サネンとは異なり、“大ボラ”を“現実”に変え続けて世界を驚かせ、ビッグマネーを稼ぎ出してきた。
たとえば2015年12月の『UFC 194』。2005年から10年間無敗で“UFCフェザー級絶対王者”の名をほしいままにしてきた“ブラジルの蹴撃王”ジョセ・アルドを相手にマクレガーは1R KO予告をし、その予告通り1Rで、しかもわずか13秒で“瞬殺”してアルドからベルトを奪って見せた。
その後、「ライト級王座とウェルター級王座も合わせて三階級を同時制覇してやる」と豪語し、この11月にはライト級王者エディ・アルバレスに挑戦、1Rから得意の左パンチでダウンを奪いまくり、2R 3分4秒、TKOでライト級王座を獲得、UFC史上初の同時二階級制覇を成し遂げたのである。
(UFCでこれまで二階級制覇を成し遂げた選手には、ライト級とウェルター級で王者になったBJ・ペン、ヘビー級とライトヘビー級で王者になったランディ・クートゥアがいるが、両者とも「同時に」二階級の王者にはなっていない)
■常に面白い試合でファンを沸かせる年収20億円超の“UFCの稼ぎ頭”
マクレガーは単に有言実行するだけでなく、毎回、非常に迫力満点の試合をしてきた。UFCでは2013年の初参戦以来10戦し、なんと9戦で大会ベスト・パフォーマンス賞などの“名勝負ボーナス”を受賞したのだ。
ちなみに、この名勝負ボーナスは1回5万ドル(1ドル=110円で計算すると、550万円)。
一方、ファイトマネーはアルド戦の時点で50万ドル(約5,500万円)だったが、今年3月のネイト・ディアスとの初戦では100万ドル(1億1,000万円)、今年8月のネイト・ディアスとの再戦では300万ドル(3億3,000万円)だった。UFC初のニューヨーク州での開催となった11月の『UFC 205』のマジソン・スクエア・ガーデン大会では、それを超えるファイトマネーが払われたはずだ。
さらに、UFCではPPV(ペイパービュー、pay per view=1イベントごとにお金を払って視聴する有料放送)の売り上げに貢献するトップ選手に、契約件数に応じたインセンティブ(歩合)が支払われる。この金額は公表されていないが、前述のファイトマネー以上の高額であることは間違いない。特にマクレガーの場合、彼がメインを務めた大会が過去のUFCのPPV契約数記録の1~3位を独占しているのだから。
イーファイトでも既報の通り、米経済誌フォーブスが6月8日に発表した2016年度版・世界のアスリート長者番付(2015年6月1日~2016年5月31日までの年収比較)によれば、マクレガーは2,200万ドル(約23.5億円=6月9日現在)を獲得し、85位だった。
■メイウェザーとの対戦でさらなる大金獲得か?
しかし、そのマクレガーよりも多く稼いだファイターがいる。
2015年5月に“ドリーム・マッチ”を行なった元ボクシング五階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米)と同六階級制覇のマニー・パッキャオ(フィリピン)だ。2015年度版のフォーブス長者番付では、メイウェザーが3億ドル(約319.3億円)で1位、パッキャオが1.6億ドル(約170.8億円)で2位だったのだ。
その後メイウェザーは2015年9月のアンドレ・ベルト戦を最後に49戦全勝の記録を残して引退したが、今年になって復帰を匂わせる発言をしている。しかも「俺が復帰戦を行うとしたら、対戦相手の第一候補はコナー・マクレガーだ」とUFC王者を相手に指名しているのである。
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