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<2018年格闘技界はこう動く>各団体代表インタビュー

2018年「プロボクシング」はこう動く

渡辺 均(日本プロボクシング協会会長)
時代の流れに合わせた盛りあげかたを慎重かつ大胆に見出す注意力が大事

短期集中連載として「2018年格闘技界はこう動く」がスタート。各団体の代表に今年の動向を先取りインタビュー。どこよりも早く格闘技界の動向をキャッチしよう。

■“王者が多いことイコール王者の価値を下げる”とは思っていません

 2017年末も世界戦中継枠を民放地上波に多く獲得し、今年に入っても好調な印象の日本ボクシング界。今回は、プロボクシング協会の代表を務める渡辺均会長に「魅力と可能性を感じさせる競技団体」を維持するためにはどんなビジョンを描いているのかを伺った。

(左から)比嘉、村田、井上、拳四朗ら現在国内には男女合わせて17人の世界王者がいる

 テレビが庶民的となって間もない昭和の時代。この日本の観戦スポーツはプロレス、野球、ボクシングの3つといわれた。それから昭和が終わり、平成も終わりを告げようとしている今日まで、ボクシングは形を変えながらも国民に愛されてきた。

今世紀に入ってからは女性や中高年が、ジムに通うフィットネス化も本格的となり、今や少年少女がジムに通うのまで当たり前になっている。その中で、決して競技レベルが落ちていないことが誇りだと渡辺会長は話す。

「“日本に1つでもいいから世界王座を”と願っていた時代は過去になり、いま世界王座に就いている日本人選手は男女合わせて17人です。これにはかつて認めていなかった女子、IBF(国際ボクシング連盟)やWBO(世界ボクシング機構)の世界王座への挑戦を認めたことも大きいです」

ワタナベジムが誇る田口良一(左)と京口紘人(右)の両世界王者

 王者が続々と増える現状には、業界内でも賛否両論だ。何より現在の世界王者たちには「国民的スター」と呼べるような有名選手が少ない。これについても同会長の向き合いかたを尋ねた。

「私は“王者が多いことイコール王者の価値を下げる”とは思っていません。それぞれが“権威を高めるようなビッグマッチ”に意欲的であれば、王者は多いほうがいいはずですし、民放の中継番組を守るには世界王者は多くあるべきなんですね。時代の流れに合わせた盛りあげかたを慎重かつ大胆に見出す注意力が大事だと思っています」

新設された日本女子王座の初代バンタム級王座決定戦は吉田実代(手前)と高野人母美で争われ、吉田が勝利した

 昨年、ボクシング協会は観戦スポーツから参加スポーツへのさらなる転換促進材料として、ジムに通うフィットネス会員も気軽に参加しやすいルールの『1stBOX』(※下記)を開始し、一方で観戦スポーツとして見応えを高めるために日本女子王座、日本ユース王座を立ちあげた。外部組織では、WBOの設けたアジア・パシフィック王座のみ公認にいたった。

 一方で、男子の日本王座をめぐっては国内最強の挑戦者が王者に挑む『チャンピオンカーニバル』が今年もすでに始まっている。同会長は「すべては伝統を守るためのマイナーチェンジの連続です。我々は常に“権威を高めるファイト”に期待しています」と目を輝かせて語った。
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※『1stBOX』(ファーストボックス)=見るボクシングから、参加するボクシングを日本に広めたいという考えのもと、 16歳~50歳の男女でプロボクシング協会に在籍しているジムの会員であれば、ジムの責任者の許可があれば誰でもリングに上がり、スパーリング感覚の安全な試合ができる。

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