第23回「『これがランカー?』『これでチャンピオン?』そう疑問に思ってしまうような選手がムエタイにいる理由」
「ムエタイの魅力、語りまくります」の第23回。今回もムエタイという格闘技のシステムについて。競技性が高いようであって、そうではない部分も多々ある。摩訶不思議な格闘技、それがムエタイだ。
タイから選手がやって来る。よほど有名な選手でないかぎり(またはよほどのムエタイマニアでないかぎり)、そのデータは不明なことが多い。なにしろ選手層がハンパなく厚く、多くの選手がいるので把握するのは不可能に近いと言えるだろう。
その際の基準となるのが、ランキングやチャンピオンベルト(“元”を含む)であるのだが、最近は特に肩書きがあてにならない。現役ランカーや現役チャンピオンが来日して試合をしても、「これでランキング●位?」「これがチャンピオン?」と思ってしまうような選手がけっこういるのだ。
昔から「本物のムエタイはタイでしか見られない」と言われる。日本に来るタイ人はナメてかかっていることが多く、本当の強さはタイで強豪同士がぶつかり合う時にしか見られないということだ(もちろん、例外もいて全力ファイトを見せてくれるタイ人もいる)。だから、手を抜いていて「これが……」と思われてしまう選手もいるのだが、実際に「なんでこの選手がランカーなの? チャンピオンなの?」というくらいの実力の選手がいる。
こういう選手は業界で「間違ってランカーに(チャンピオンに)なった選手」と呼ばれる。別にランキング作成で間違って入ってしまったわけではないのだが、強い選手と対戦してたまたま勝ち、一時的にランキングに入る選手がいるのだ。
ムエタイの人気選手は1カ月に1試合行うことが多く、いくら強靭なタイ人とはいえ毎回ベストコンディションというわけにはいかない。それに格闘技なので、勝負に絶対はなく強豪タイ人も不覚を取ることがある。相手もそれなりにムエタイの技を身につけ、試合経験を積んでいるからだ。また、タイ人はムラッ気がある(気分屋)とも言われ、それも原因のひとつかもしれない。 ・・・
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