【連載】第43回「梅野源治はなぜK-1ルールで負けたのか?」の巻
打撃のスペシャリストである筆者が、最新の試合を題材に打撃技術を分析していく連載コラム。今回は10月14日に行われた『K-1RISING 2012 WORLD GP FINAL 16』のスーパーファイト、梅野源治vsチャンヒョン・リーを分析。期待の梅野はなぜ負けたのか!?
▼第5試合 スーパーファイト 61kg契約 3分3R
○チャンヒョン・リー(韓国/Moovi Gym/KHAN Sportainment/2011年M.K.F -60kgトーナメント優勝)
判定3-0 ※三者とも29-28
●梅野源治(PHOENIX/WPMF世界スーパーフェザー級王者)
※試合レポートはこちら
■梅野の「攻撃的ディフェンス」はK-1ルールでは通じない
梅野のK-1への参戦。日本人初のルンピニースタジアムの、しかもフェザー級のランキング入りを成し遂げた実力者ゆえ、試合前からファン・マスコミの期待も相当なものだった。ムエタイルールの戦いに長ける梅野の武器はヒジとローキック。その威力たるものやタイ人顔負けの攻撃力を兼ね備えており、おまけに連打も利く。構えは手の平を相手に向けた、ムエタイ式のガードでアップライトスタイルだ。
ムエタイのトップクラスの実力者はどんな打撃ルールにでも難なく適用し、勝利を引き込む実力を兼ね備えている。抜群の攻撃力のみにとらわれがちなのだが、実は最も警戒しなければならないのは攻撃というより、その卓越した個々のディフェンス能力の高さにある。
ブアカーオがK-1ルールで成功したのも、試合を分析すれば分かる通り、抜群のディフェンス能力があってのことである。対パンチに対してはスウェーの反応、もしくは顎引きダッキング、または左前蹴りのストッピングでほとんどまともに顔面にパンチを被弾することがない。相手のパンチに反応出来ない(vsアンドレ・ジダ戦)時はしっかりブロックを固めて前に出てくる……。
どれだけ凄い攻撃力を兼ね備えていたとしても、ディフェンス能力がなければ、クリンチはおろか首相撲までも許されず、必然的に打ち合いに追いやられるK-1ルールに対応するのは非常に困難だといえる。
梅野の最高試合は、ルンピニーのバリバリの現役ランカーであったウティデート・ルークプラパート戦であろう。結果は既にご存知のとおり、4Rに見事なパンチとローのコンビネーションからの右ヒジによるKO勝ち。
この試合を序盤から見てみると、梅野の対パンチに対する対応力の甘さが目についてしまう。得意のヒジがあるのでアッパー系や連打を多用されることはないものの、このウティデート戦でもまともに右ストレートを被弾する場面が時折見られた。一度、右ヒジを放った際には、すぐに右ストレートを返されて尻餅気味にリングに手をついてしまった。追い討ちを掛けたいウティデートだったが、カウンターのヒジ、さらには返しのローがあるので不用意につなぐことが出来なかった。
梅野のディフェンスは、自身の攻撃を存分に活かした「攻撃的ディフェンス」である。要するに、 ・・・
※この記事は会員専用です。会員登録すると続きが読めます。
===================================
吉鷹弘の「打撃」研究室 第43回 内容 |
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
TwitterでeFight(イーファイト)格闘技情報をフォローしよう!
Follow @efight_twitインスタグラムでeFight(イーファイト)格闘技情報をフォローしよう!