7 月8日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館で開催された極真館『全日本高校生ウェイト制大会』の65kg級で見事に優勝を果たした大西拳伍(けんご)。中学生時には、ロシアで開催された全世界大会の無差別級で三連覇という偉業を達成した。“最強高校生”の素顔に迫る。(取材日:2012年8月1日)
PROFILE |
■無差別級での戦い。世界大会三連覇した秘訣とは。
――まずは空手を始めたきっかけから教えて下さい。
「5歳の時にメンタル面が弱くて、保育園のクラスのリーダー格の子にブロックの取り合いで負けていたんです(苦笑)。強くなって勝ちたいなと思っていた時に、家の隣に空手の道場があったので入門しました。でも、稽古が始まるとすぐに泣いちゃうような子だったんです。それじゃダメだなとお父さんとも練習をし始めるようになったら、試合でも少しずつ勝てるようになり、自分に自信を持つようになりました」
――自信を持つようになったのは、空手を始めてどのくらいですか。
「空手を初めて3~4年経ったぐらいですね。千葉の大会で初優勝してから『練習すればこれだけ上にいけるんだな』と優勝の喜びを味わいたいだけに練習を続けました」
――お父さんも空手をやっていたんですか。
「そうですね。父は昔、空手をやっていて、僕の名前に“拳”が入っているように空手をやらせたかったそうです」
――今までに優勝したのは何回ぐらい?
「そういうのはあんまり数えないんですけど、10~20弱だと思います。その中でも、ロシアで開催された全世界青少年大会を三連覇したのが一番嬉しかったですね。それまでの大会とは別格でした」
――ロシアの大会に出場して日本とはどういうところに違いを感じましたか。
「日本だと対戦相手の研究をして戦術を立ててくるのでやりにくい部分はありますけど、向こうは気合いが違うんです。こっちが技ありを取っていても、向こうはガンガン来て最後の一秒まであきらめないんです。ちなみに向こうの選手は前蹴りに弱いみたいで、初めて優勝した時の大会での技ありは全部前蹴りによるものでした。海外の選手と日本人選手は骨格から全部違っていて、効かせに来るタイプが多いんです。日本だと、技ありのポイントを取って奇麗に試合を進めることが多いじゃないですか」
――そのロシアの大会は無差別級なんですよね? 一番の体格差はどれぐらいありましたか。
「トーナメント票は全部ロシア語なのでわかりません。ゼッケン番号で相手を探して、どういう組手をするんだろうと想像することしか出来なかったですね。相手の情報がないまま試合場に上がって、すぐに試合という感じでした。身長差20cmもあった試合もありました」
――そういう厳しい状況下の中でも三連覇できた秘訣はどういうところにありますか?
「やはり負けられない気持ちにあると思います。お父さん、周りの人は、みんな僕に気遣ってくれました。ここで負けたら申し訳ない、会わせる顔がありません。負けたらどうしようとか、そういうことは一切考えず、表彰台に自分が立っているイメージや、終わったら何をしようとかを考えていました」
――日本を代表して戦っている意識は?
「そういうのはないですね。自覚を持つべきなんでしょうけど、今ではそういうプレッシャーに慣れてしまった感じです。大会前に道場の掲示板や大会パンフレットを見ると、“期待の大西、連覇なるか?”と書かれているのを見ると『やってやろうじゃないか!』と逆にエンジンがかかってしまいます」 ・・・
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