6月9日(日)神奈川・横浜文化体育館で開催されるリングスとアウトサイダーの合同大会『RINGS×THE OUTSIDER』で、アウトサイダー選抜vs中国・イギリスの対抗戦が行われる。海外とのネットワークによる結びつきはリングスの真骨頂であり、プロ・アマ問わず未知の強豪を国内外で発掘していくという。プロモーターとしての注目を集める前田代表に、今大会の見どころと今後の構想・計画について大いに語っていただいた。(取材日:2013年5月14日)
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■第1章 俺のやっていることは、道を作ること
ーー今大会のアウトサイダー部門では、イギリスと中国から選手を招いて対抗戦を行います。普通のアマチュア大会の枠を超えた規模ですが、なぜ今回外国人勢を招聘することにしたのでしょうか?
「大会主催者としての目的は、アウトサイダーから優秀な選手を輩出すること。アウトサイダー出身の選手はプロになった時点であらゆる経験が出来上がっていて、順調にプロの世界でも早く上にあがっていけるようにしてあげたいと思っているんだよ。
プロの世界というものは、本当は見知らぬ者同士の一騎打ちが基本。でも、日本の中軽量級選手たちはそれぞれが他の選手のことをよく知っているんだよね。どこかで練習したことがあるとか、自分の知り合いが練習したことがあるとか。どこかで情報が入ってくる。だから試合をやる前からだいたい結果が分かってしまうんだよ。その情報に沿って試合をして、勝って「どうだ!」と。まだあいつには勝てないと思ったら試合を受けないとかね。
でも、それは選手の責任だけではなく、プロモーターの責任なんだよ。PRIDEが成功して以降、この業界にド素人のプロモーターがわんさか入ってきたでしょう? 一攫千金を狙って。
選手を育てるためには、時にはお互いにキツイことにも触れないといけないし、マッチメイクの中でその選手の試合を見て課題を与えないといけない。選手をプロモーターの意のままに操ったり、選手を甘やかしたりするのは違うんだよ。
別にいま分かってもらえなくてもいいんだよ。10年、20年経って、あの時のプロモーターは当時の自分を育てるためによくやってくれたと分かればそれでいい。いわゆる“父親的愛情”。母親の愛情は無償の愛じゃない。父親の愛情こそが無償の愛なんだよ。特攻隊だって死ぬ瞬間に『おかあさーん』と叫ぶけれど、「おとうさーん」って叫ぶ人はいなかったでしょう?
親父の良さが分かるのは親父が死んで何十年も経ってから、子供が大人になって“そう言えば親父はこうしてくれたな、今頃になって分かったよ”って。それが父親の愛情なんだよ。プロモーターはそれと似ていて、父性的な職業なんだよね」
ーーその父性的な愛情で、今回アウトサイダーの選手たちに厳しい課題を与える、と。
「そう。その代わり、選手たちは全力で守る。俺のやっていることなんて大したことはないんだけれど、話題にはなるでしょう。こういう話題作りをしないといけないよね。選手の掘り起こしを兼ねて。これで中国の選手やイギリスの選手が良かったら、また面白い展開が生まれる。俺のやっていることは、道を作ることだから」
ーーイギリスチームと中国チームなんですが、どのような選手たちなのでしょうか?
「イギリスとオーストラリアはアウトサイダーをやろうとして準備していて、それに向けてリー・ハスデル(リングスUK代表)はアマチュア大会をすでに開催している。その中からの選抜選手が来るよ。リングス・オーストラリア代表のクリストファー・ヘイズマンは、元々は警察学校の格闘技トレーナーだったからね。そのつながりでアマチュア大会をやろうとしているんだよ。まだ時間はかかると思うけれどね」
ーーアウトサイダーとオーストラリアの警察官候補の対抗戦が実現したら面白いですね。
「出来るんじゃないかな。俺はアウトサイダーを不良だけの大会にするつもりはないから。だから弁護士とか医大生とかも出ているでしょう」
ーー不良はあくまでもキーワードのひとつ、だと?
「一番チャンスが回ってこなかった人たちの最たるものが不良でしょう。アウトサイダーのコンセプトは、チャンスがなかった人たち集まれ、なんだよ」
ーーでは、不良でなくても本格的にプロを目指しているアマチュア選手が出てきてもいいんですか?
「どんどん出てくればいいよ。でも、アウトサイダーは試合で勝ったらマイクを持たせて喋らせるし、入場する時もどんな音楽でどんな自己主張するのかってところまで試されるからね。アウトサイダーの中で目立つようになれれば、プロでも通用するよ。
勝ち進めば外国人選手とも対戦できるし、横浜文化体育館のように大きな会場でも試合が出来る。いろんな意味でプロの要素を持った大会だから。アウトサイダーで試合をすると、いろんな意味でプロでも成功する確率が高くなるよ」
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