【月間ベストファイター・1月】野杁正明、崖っぷちからの復活KO勝利！3月ONE日本大会で強豪タワンチャイとタイトル戦へ

■ONE日本大会は『THE MATCH世界版』ではない！

　3月のONE日本大会は、日本のトップ選手と海外のトップ選手が対戦するカードが並び、武尊と那須川天心が対戦した『THE MATCH』の世界版という声も出ている。それを野杁に聞くと「僕は、ちょっと違うイメージですね。最初は僕もそう思っていましたが、今は別ものというか、武尊とロッタンのための大会でもあるし、規模が違うと思っています。『THE MATCH』も素晴らしい大会でしたが、比べものにならないくらい世界中が注目しています」と完全に別ものとして捉えていた。

KO勝利する野杁

　また日本人全滅の危機という声に対しては、「僕は日本人の強さを見せるための大会だと思っています。ホームの日本で開催される大会ですし、僕は日本人が強さを見せることができると信じています。全員で勝ちたいです」と日本の強さを信じているという。

　チームメイトの武尊については「ずっと追い込んでいるので疲れは見えますけど、調子はいいです。毎日、追い込んでいる姿に刺激を受けますし、ストイックなんで武尊君がここまでやっているならば自分はそれ以上にやらなければいけないと思う」と相乗効果を生んでいるようだ。

「タワンチャイ選手に勝つよりも、武尊君と一緒に勝ちたい方が強いですね。他のことに気をとられて勝てるのかという意見も出るかもしれませんけど、すべてを踏まえた上で武尊君と一緒に勝ちたい。勝っていいバトンをつなげたいという思いが強いです」と野杁。武尊と野杁は、集大成ともいえる今回の大会でともに喜びを分かち合いたいのだろう。

■ライバルの海人とのこと、これからのこと

　今回のタワンチャイとの試合は、ONEフェザー級キックボクシング暫定王座決定戦となる。まだONEで1勝の野杁にとっては、破格の待遇だ。

勝利を喜ぶ野杁

　野杁は「こんなチャンスをいただくことは有り難いことです。他にもグレゴリアン選手や強豪が揃っている中で、『お前なんで1勝しかしていないのに』と思っているだろうし、ファンからもそんな声があがっています。でも僕がアピールしたわけではないですし、こんなチャンスをもらって断る選手はいないでしょう。このチャンスを活かせるかどうかは僕次第。仮にベルトを獲れたとしても、ここからスタートです」と気を引き締めていた。

　チャンピオンになれば、嫌でもトップクラスの選手との対戦が組まれる。そこで力を示すことができるかどうかが、真のチャンピオンの力量となる。先を見据えた野杁の思考は、じつにスマートだった。

　また、ライバルの海人も同じ大会に出場するが意識しているのだろうか。野杁は「海人選手にはTHE MATCHで負けて、ずっとリベンジしたいと思っています。でも、すぐに再戦が組まれても互いにメリットが少ない。互いにチャンピオンになって、次は世界一をかけた試合をしたいですね」と野望を語った。

　野杁の世界最強への旅は、まだ道半ば。日本が世界に誇るトップファイターの戦いを、これからも見守っていきたい。　

■野杁が受賞の喜びを語る

　イーファイトの月間ベストファイターに選ばれた感想について野杁は、今回で2回目の受賞となり「ありがとうございます！」と喜んでいた。イーファイトからは記念盾、ゴールドジムからサプリが送られる。

　最後にファンに向けて野杁は「日本人が歴史を変える瞬間を、ぜひ期待してください」とメッセージを残してくれた。当日は、大きな声援が勝利を後押ししてくれるはずだ。

（取材/文＝松井孝夫、構成・編集＝イーファイト編集部）