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 10月20日(日)東京・後楽園ホールで開催される『TRIBE TOKYO FIGHT~長南亮引退興行~』にて、12年間の現役生活にピリオドを打つ長南。引退試合にしてDEEPウェルター級タイトルマッチという大一番を迎える長南に、引退の理由、指導者としてのこれから、そして今だから話せるウィークポイントの克服方法を聞いてみた。 (取材日:2013年9月2日)

PROFILE
長南 亮(ちょうなん・りょう)
1976年10月8日、山形県鶴岡市出身
身長175cm、体重80.0kg
TRIBE TOKYO MMA所属
※詳細は選手名鑑へ→

■第1章 今の若い選手はプロとしては戦い以前に物足りない

ーーまず最初に、引退を決意した理由からお聞かせください。

「決定的だったのはジムを始めたことと首の怪我です。岩瀬茂俊戦(2011年6月24日=長南がTKO勝ち)の前からヘルニアで思うように練習が出来なくなり、それから寒川直喜戦(同年10月29日=長南が判定勝ち)、桜井“マッハ”速人戦(同年12月31日=長南が判定負け)とやったんですけれども、以前と比べたら練習の質が落ちてしまっていることを感じました。

 手術をするなどして現役にしがみつく方法もありましたが、それよりもこれからの選手や自分に付いて来てくれる後輩もいますし、彼らを支えられる存在になりたいなって思ったんです。

 そこで考えを切り換えてジムをオープンし、今まで応援してきてくれた人たちのためにけじめの引退試合を最後にやろう、というところです」

ーー現役を続けるよりも、後進の指導をしたいという気持ちの方が大きくなった?

「もう自分のような者が粘っていてもしょうがないだろう、と思いました。年齢的にもそうですし、若い選手が海外でもどんどん出て来ているじゃないですか。粘って粘ってやるよりも、自分なんかは退いてもっと若い選手を育てた方が日本の格闘技界のためにもなるでしょう。みんなきつい状況なので、少しでもよくしてやりたいなと思いましたね」

ーーそれはマッチメイク、ファイトマネー、生活面など全てを含めてのことですか?

「そうですね。いまウチのジムでやっているのは、団体と交渉して試合を組む、そして練習を見てあげることくらいしか出来ていませんが、今回の大会でやったようにマッチメイクなどで協力できることがあれば、少しでも選手たちがよくなっていくように、そして格闘技業界のためにやりたいなって気持ちが大きいです」

ーー指導者としてはどんな選手を育てていきたいと思っていますか?

「やはり世界に通用する選手が目標です。ズバリ、UFCに出て勝てる選手ですね」

ーー長南選手のように出てくるだけで会場の空気が変わるような、日本の観客が求める殺伐とした試合が出来る選手ではないんですか?

「どんな選手でもいいです。自分の真似をしてくれとは思わないですし、自分のカラーがあっていいと思います。ウチのジムはわりと地味なタイプも多いですし(笑)。

 それぞれ持っているものが違うので、自分と同じようにしたいとは思わないです。ただ、いい意味で業界を盛り上げてくれる選手が出て来て欲しいですね。例えばKRAZY BEEの堀口恭司選手のような選手は“いいな”って思います。若くて強い選手が欲しいです」

ーー勝ちに徹するような選手でもいいんですか?

「何でもいいです、強ければ。勝ちに徹するならば、どこに行っても勝てる、本当に強い選手ならいいと思います」

ーー長南選手がDEEPでやってきた試合を考えると、最近の選手の試合には物足りなさを感じているんじゃないかと思ったんですが、そうではないんですね。

「プロとしては戦い以前に物足りない、もっと頑張って欲しいっていうのは感じます。例えば自分なんかは、本当は憎くもない相手をわざと憎いように言ったりとかディスったりとかしていました(笑)。アンチも含めて全部盛り上がればいいと思ってやっていたところが今までたくさんあって、リスクを負ってでも悪者になってでも盛り上げてやろうと思ってやってきました。

 それはなぜかと言うと、自分のメシを食う場所を守るためです。そこのチケットが売れなかったら根本的にダメじゃないですか。そこまで考えている選手があまりいないように感じます。練習は真面目にやります、試合も頑張ります、勝てました、ありがとうございました……それではアマチュアと何ら変わりがないじゃないですか。

 さっきも言いましたけれどいろんなやり方があると思うので、自分と同じやり方でなくてもいいし、マイクアピールももっと上手い選手がいると思います。

 そういうところでもうちょっと、自分がメシを食う場を守るくらいの意識は欲しいなと思います。技術云々を言う前に」

ーー友だちにチケットを買ってもらうのではなく、その選手が出るからプレイガイドでチケットが売れるという選手にならないといけない、ということですね。

「そうです。ただ身内にも売れない、盛り上げられないヤツは厳しいと思います。身内すら見に来ない試合を誰がお金を払って見に来るんだってことですよ。でもそんなチケット営業をしている時間があったら、自分は練習した方がいいと思います。本来のプロの姿として、試合とストーリー作りも含めて自分と団体を盛り上げ、格闘技に興味がなかった人たちも取り込むくらいの力が欲しいですよね。

 だから今回の大会も、マッチメイクでチケットを買ってもらおうと勝負したところがあります。だいぶリスクはありますけれどね。チケットが完売しても、利益があるのかないのかも分かりません(笑)」

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