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第32回 ミルコ・クロコップはなぜUFCで勝てないのか、の巻

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 最新の試合を題材に、打撃のスペシャリストである筆者が打撃技術を分析していく。今回は9月19日(現地時間)アメリカ・テキサス州ダラスで行われた『UFC 103』でのミルコ・クロコップVSジュニオール・ドス・サントスを徹底分析! PRIDEで圧倒的な強さを発揮していたミルコは、なぜUFCでは勝てないのか?

■右利きサウスポーゆえの弱点を突かれている

 9月19日の『UFC 103』で行われたミルコ・クロコップVSジュニオール・ドス・サントスの一戦について、打撃的視点から自身の試合分析を論じてみたい。

  元PRIDE GP無差別級王者であり、K-1戦士でもあり、国内においては抜群の知名度と実力を誇っていたミルコだが、2度に渡るUFC移籍後の成績はすべて芳しくな い。過去PRIDE時代に闘ってきた選手とUFCの選手の打撃レベルが異なることもその要因のひとつではあるが、それ以上に前に出る圧力のある選手が UFCには多いということが苦戦を強いられている原因だと見ている。

 私は雑誌等のインタビューの際に、再三再四、ミルコが右利きサウスポーであることは論じてきた。元来右利きサウスポーは中に入りこまれて しまうと、体が仰け反り重心が浮く傾向があり、それはミルコにおいても同様である。体が仰け反るためパンチへの反応が鈍り、返そうとする左ストレートも必 然的に弱くなってしまうのである。利き腕ではない左手が後手にあるため、手打ちレベルの左ストレートの打法ではまず相手に効かせることが出来ない。

 ミルコはK-1時代から中に入られると苦戦する傾向があり、蹴りを怖がって下がる相手には自分の間合いをしっかり保てるために、自分優位に試合を進めることができたのである。

 PRIDE時代も同様。タックルが切れ、脇を差しても容易に投げることができないミルコに、打撃力の潜入感が強過ぎてほとんどの選手が間合いを自ら下がることで開けようとしてきた。

 それ故、自然と相手が下がる形となるため、よりミルコが得意の左ミドル、ハイを入れ易かったのである。 私の記憶では打撃に恐れをなさず、ミルコ相手に中に入りこんだPRIDE戦士はヒョードルとケビン・ランデルマンの一戦目だけであろう。 ・・・

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吉鷹弘の「打撃」研究室 第32回 内容
■右利きサウスポーゆえの弱点を突かれている
※以下、会員の方のみご覧になれます。
■K-1時代からの癖と弊害をミルコは克服できていなかった
■筆者が提案する3つの技術改善とは……?

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